【連載】教育現場の課題をひもとく チーム学校をどう実現するか② 教員の多忙感解消のために

帝京大学教職大学院教授 元全国連合小学校長会長 向山行雄

 

1.「ビルドアンドビルド」の罠

学校があまりにも忙しいから、多くのマンパワーで応援しよう。これが、「チーム学校」の根本的な考え方である。忙しさにさいなまれている教師に「気の利いた授業」はできぬ。それどころか、「普通の授業」でさえもシックハックである。ましてや、「アクティブ・ラーニング」など気が遠くなる。

おそらく多くの教師たちはそう思っている。私もそう思う。近年の「教育改革」は、あまりにも「ビルドアンドビルド」で走ってきた。自分の持ち場だけを見て功を挙げようとする人たちは、とかく「スクラップ」することをためらう。

本来なら、教育施策は「スクラップアンドビルド」で進めるべきである。しかし、悲しいかな、多くの自治体や学校で「ビルドアンドビルド」の施策が進められる。

私も長く、教育行政や学校管理職を務めてきたから分かる。関係者は誰しも「学校のためによかれ」と思って仕事をしている。しかし、善意としての「ビルドアンドビルド」が進められた結果として、いつも学校現場が貧乏くじを引かされる。

2.ある国会議員の活動

心ある人は、この現実を少しでも変えたいと思っている。

「教師の数を増やす」という教職員定数改善要望を、各校長会、教育長会、退職校長会、文科省などの行政機関も「一丁目一番地」に掲げて努力している。

しかし、教師の数を増やすのは、そう簡単ではない。今後も粘り強く努力し続けるしかない。こういう中で、うれしいニュースを聞いた。

自民党の「教員の長時間労働の是正に関する議員連盟」(会長・塩谷立元文科大臣)が5月31日、教員が全員午後6時までに退校できるよう、部活動を見なおすことなどを提言した中間まとめを馳浩文科大臣に提出したとのことである。

報道によれば、「児童生徒と向き合う時間が十分確保できず、新時代に対応した教育の質の向上に取り組めないのは由々しき状況」として、勤務時間内に教材研究や授業準備を行える環境を整備すべきだとしている。

大賛成である。日本の教育改革は、教員の長時間労働是正の施策を、まず始めるべきである。

個人的な話だが、筆者の校長会役員時代、教職員定数改善要望のために、頻繁に国会議員会館へ出かけた。各会派の文教担当者に依頼するためである。10年前、まだ文科大臣就任前の塩谷議員は、自部屋に筆者たち2人を招き入れ、学校の現状によく耳を傾けてくれた。そして昨秋、静岡県でのある立席パーティーで、30分間ほども現在の学校の教育課題について懇談した。現状を変えなくてはいけないという点で一致した。

与党の政務調査会長代理という要職にあり、忙しい日々を送りながら、学校を応援する活動に取り組む塩谷氏に敬意を表したい。

3.文科省の進める支援体制

中教審答申では「チームとしての学校」を実現する視点として、次の3点を挙げている。

▽専門家に基づくチーム体制の構築▽学校のマネジメントの強化▽教職員一人一人の力が発揮できる環境の整備

文科省としては、具体的に次のような施策を進める予定である。

▽教職員の指導体制の充実▽教員以外の専門スタッフの参画〇心理や福祉に関する専門スタッフ〇授業などにおいて教員を支援する専門スタッフ〇部活動に関するスタッフ〇特別支援教育に関する専門スタッフ

これらの施策が進めば、いくらかでも教員の多忙感の解消につながる。

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