部活動指導で教員の負担大 内田良名大大学院准教授に聞く

実効性のある軽減策が重要

教員の多忙化が問題視され、その解消に向けた取り組みが課題となっているなか、多忙の一因となっているのが、部活動。文科省とスポーツ庁は6月に、運動部活動に休日を設けるなどの方針を盛り込んだ「学校現場における業務の適正化に向けて」を示した。だが、これにどこまで実効性があるのか、疑問を投げかける声もある。部活顧問の負担などに詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授は「形骸化しないよう、実効性のある仕組みづくりが重要だ」と訴える。

内田良名大大学院准教授
内田良名大大学院准教授

――中高の部活動の現状は。

いくつかの調査を見ても、この10年で拡大している。中学校に限っていえば、活動の全員参加となっている地域や学校が多い。活動時間、日数も含めて全体的に活動量が多くなり、教員の負担感が増している。さらに土・日曜日を返上して練習したり、遠征や試合の引率をしたりしている。
結論めいたことをいってしまうが、この議論で欠いているのは、肥大化している部活動の活動時間や日数を減らすことが必要だ。

例えば、活動日数・時間数を半分ほどに減らせば、本来の教員の仕事である授業準備に時間を割き、生徒と向き合う時間をつくることができる。またその程度の負担であれば、積極的に部活動で生徒に向き合いたいと思う教員が増えるはずだ。外部指導者を雇用している自治体では、指導者確保の予算を削減できる。

部活動の意義は、生徒に授業以外のスポーツや文化活動の機会を低コストで与えること。それを原点に考えれば、毎日やる必要はない。週に4日で十分。膨らんだものを小さくするという出発点に立つべきだ。

――既に外部指導員を活用している自治体もあるが。

外部指導員は2つの理由で導入されている。教員の負担軽減と生徒への専門的指導。
外部指導員をうまく活用している学校もあるが、強化選手を育成すべく休みなく練習している場合が多い。生徒からすると、これでは負担が増えてしまう。

神奈川県の調査で、教員と外部指導者に理想の部活動時間と日数を聞いた。すると、教員よりも外部指導者の方が、どちらも長かった。「たくさん練習して鍛えてやるぞ」と意気込んでいる外部指導者が多い実態が浮かび上がる。

日本のスポーツ指導者は、よりたくさん練習する点に重きを置いている。だが、スポーツ科学からみれば、休日を設けると、けがを防ぐだけでなく、トレーニングを効率化できる。

外部指導者には、こうした考えに基づいた指導をしてほしい。そうしなければ、教員の負担は減っても、それを、生徒の負担に転換しただけになってしまう。

――今後の部活動の在り方については。

生徒と教員の問題を分けて考えないといけない。学校の部活動では最低限の機会保障をする。それ以上のレベルを望むのであれば、スポーツクラブなどを運営している民間で、本格的な指導を受ければよい。こうした選択肢ができるよう政府が制度設計をすべきだ。

また教員を、労働者として見る視点が大事だ。部活の顧問となっていない教員は白い目でみられる傾向にある。さらに土・日曜日を休むだけで怠け者と見られる。保護者だけでなく教員のなかでもそういう雰囲気がある。だから教員は、ある意味で怯えている。そもそも部活動は、労働者である教員が、勤務とは別にボランティアでその指導を負担しているのである。その原則が、保護者や地域などに十分に理解されなければならない。

――文科省が部活動について新たな方針を示したが。

旧文部省が平成9年に作成したガイドラインでは、「高校は週1日以上」「中学は週2日以上」の休日を設けるよう目安を示していたが、既に形骸化している。6月に文科省は、部活動の実態を調査し、結果を踏まえた上で具体的な休養日数を盛り込んだ指針を、29年度内に定める方針を示している。

だが、9年のガイドラインのように形骸化しないような取り組みを講じてほしい。ガイドラインを守るよう、自治体の実態をチェックすべきだ。
例えば、各自治体の部活動の時間数を公表するなどの厳しい措置を取るのも必要だろう。

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