【連載】教育現場の課題をひもとく チーム学校をどう実現するか③ みなが働きやすい環境つくる

帝京大学教職大学院教授 元全国連合小学校長会長 向山行雄

 

1.チーム学校の先駆け

学校にさまざまなスタッフを配置するという「チーム学校」の施策は、いくつかの自治体ではすでに推進されている。

筆者が校長を務めた東京中央区立泰明小学校は、小学校12学級、児童数約360人、幼稚園2学級、園児数約30人の平均的規模の学校(園)である。正規職員である校長(園長)、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、算数少人数加配教諭、養護教諭、事務主任、幼稚園主任教諭、幼稚園教諭の他に次のスタッフが配置されていた。

この他に、国語講師、体育指導補助員、理科指導補助員、非常勤栄養職員、事務補助員(小学校)事務補助員(幼稚園)、スクールカウンセラー、ALT、特別支援学習サポーター、教務主任負担軽減講師、図書館指導員、土曜スクール講師等が配置されている。正規教職員20人、非正規教職員15人という配置である。

こうした通常の勤務者の他に、移動教室の看護婦や臨時スタッフ、夏季水泳指導の指導員などがいる。また読み聞かせボランティア、バスケットボール、相撲、バドミントンなどの指導者、警察のスクールサポーターもいる。内科校医と歯科校医は、毎月の朝会で健康の講話を実施する。数十年続く恒例行事である。

2年生活科探検、3年生は地元・銀座の画廊めぐり、5年生銀座の柳染め、6年生の薬物乱用防止教室では、地元企業や商店主が協力する。近隣の帝国ホテル、日生劇場、日比谷公園松本楼、銀座松屋、銀座三越、松坂屋、東京メトロ銀座駅なども全面的に支援してくれる。

2.会議のための超過勤務はゼロ

このように泰明小学校では、多くのスタッフや地域からの支援で教育活動を展開していた。

「チーム学校」で展開するから残業は少ない。研究指定校、周年行事、文科大臣はじめ多くの学校参観などもあるが、いわゆる「提灯学校」ではない。校長はもちろん、副校長や教務主幹も午後6時頃には退勤する。遅くまで残留する教職員はほとんどいない。

校長が出席する公的な行事で、勤務時間を超過したことはない。突然の事案が発生しても、勤務時間内での打ち合わせで対応する。

なぜ、それが可能となったか。一つには、会議の厳選や短縮をしたことである。学校内に「時間コスト」意識を醸成することで、ムリ・ムラ・ムダを省く。

二つには、学校内のシステムを確立することである。例えば、校内稟議制度の導入で、持ち回りで意思決定する。あるいは、次週の校内予定を綿密に作成し、各学年の行事、来校者、校長の不在時間なども克明に明示することで、教職員を動きやすくする。

三つには、職場内の風通しをよくすることである。正規教職員と非正規教職員の働き方の工夫である。

3.チームメンバーの働き方

チームメンバーが働きやすくなる工夫とは何か。

一つは、一人ひとりの勤務時間や休憩時間等の割り振りを表にして全校で共有したことである。二つは、各自に必要な文書が届くように一人ひとりの書類箱を用意して、情報伝達を確実にしたことである。

三つは、親睦会の経費、学校行事終了後の反省会や旅行会、慶弔、日々の職員室での茶代も不公平がないようにしたことである。四つは、予算の許す範囲内で学習指導要領や関係書籍を全員に配布し、謝恩会や離任式などでの接遇も平等にしたことである。

五つは、長期休業中の模擬授業研修に、非正規教職員も参加できるようにしたことである。勤務時間の変更等の措置も保障した。

こうした改善で、「チーム学校」のさまざまなスタッフは働きやすくなった。