【連載】教育現場の課題をひもとく 問題行動の現状と課題―いじめ③ 全校体制整備し組織的に取り組む

神田外語大学教授 嶋﨑政男

 

いじめは児童等の尊厳を奪い、生命への危機を生じさせる。「脱いじめ」は社会全体の喫緊の課題である。学校には、校長の強いリーダーシップの下、全教職員の一丸となった組織的取り組みが求められている。

「いじめ防止対策推進法」第22条では、「当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成される」組織の設置が義務付けられている。

組織対応の有効性・必要性には異論はないが、実際の運用に当たっては、(1)教職員の負担軽減(2)予算の確保(3)リーダー(コーディネーター)の配置もしくは育成――という課題を克服しなければならない。

学校の小規模化が進む中で、新たな組織の設立が屋上屋を課す愚さとなってはならない。本条は「対策委員会」「協議会」等の新たな設置を指示してはいない。「組織を置く」という表現にとどめている。このため、既存の生徒指導部会等の活用は、法の趣旨から逸脱するものではない。

だからといって、これまで通りの組織・運用は許されない。業務の増加にいかに対処するかが課題として残る。

条文では、学校外の関係者をメンバーに加えるよう規定されている。「常設」を想定した組織にあって、人材確保の困難さとともに予算の裏付けのない施策では成果を期待できない。

3点目については、本稿のメーンテーマとして詳述したい。組織対応には、組織運営のマネジメントを担うリーダー役と、目標に向かって自らの役割を果たすメンバーが必要である。「チーム学校」構想が進められているが、その成否は校長のリーダーシップと調整・推進役のコーディネート力にある。

いじめ防止対策推進法第17条において、関係機関等との連携で国および地方公共団体がコーディネーター役を務めると明記されたが、コーディネーターとの用語はここでは使われず、学校対応の場面には全く登場していない。
他の課題では次のような記述がされている。

▽不登校児童生徒に対する適切な対応のために、各学校において中心的かつコーディネーター的な役割を果たす教員を明確に位置付ける(「不登校への対応の在り方について」文部科学省・平成15年5月)
▽コーディネート能力を有する教員を養成する(「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告・平成16年1月)
▽サポートチームを効率的に機能させるには、対応する事案について中心的な役割を担う機関等がコーディネーターの役割を果たすことが必要(「関係機関等の連携による少年サポート体制の構築について」文部科学省・平成16年9月)
▽校長は特別支援教育のコーディネーター的役割を担う教員を「特別支援教育コーディネーター」に指名し、校務分掌に位置付ける(「特別支援教育の推進について」文部科学省通知・平成19年4月)
▽コーディネーター役として、校内体制の連絡・調整に当たる教育相談担当教員の存在が必要である」(教育相談等に関する調査研究協力者会議報告・平成19年9月)

さらに、教育再生実行会議では、コミュニティ・スクール化を図るためのコーディネーターの配置(第6次)、特別支援教育コーディネーターの専任化(第9次)が提言されている。さまざまな問題においてコーディネーターの重要性が指摘されているが、「脱いじめ」に向けた取り組みにおいても必要不可欠である。

なお、コーディネーターの資質・能力は「カッコウ」(CACCCA)で表すことができる。
C(カウンセリング)・A(アセスメント=見立て)・C(コラボレーション=連携)・C(コンサルテーション=情報提供・助言)・C(コンプライアンス=法的対処)・A(アウトリーチ=訪問支援)の6つの力である。

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