【連載】クオリティ・スクールを目指す 第82回 産休代替教員の課題

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

学校支援へ実効性ある方策を

文科省は「学校現場における業務の適正化に向けて」とする報告書をまとめた(本紙6月20日付)。わが国の教員の勤務時間は世界最長という実態をどう改善するか、という重要な課題への今後の取り組みを示したものである。その報告書の最後の部分で「教職員が本来の労働時間で退校することを理想の姿として目指し」という表現があって、興味深かった。

つまり、決められた退校時間に帰られないという「実態」と、勤務時間内という「理想」とのはなはだしい乖離を埋める方策に文科省が取り組もうとしている、という態度表明である。ぜひ、実効性のある方策を早い時期に実現してほしいと期待する。

ところで、この報告書には書かれていないのだが、学校で苦慮している実態に産休代替教員の問題があるのではないかと考える。

周知のように、東京都などの小学校は若い教員で半数以上構成されている。当然ながら、採用されて数年経てば結婚し、子どもを産む年齢に達する。その時期に達している教員は数多い。学校によっては、「産休に入る予定の教員が3人います」という実態もある。

教員の豊かな生活環境を維持するため、産休制度が効果的に行われるのは望ましいが、問題は産休代替教員の確保が容易でないことである。

実態を聞くと、「学校が探します。教頭の仕事です」という回答が多かった。教員の臨時採用は教委の仕事と考えるが、候補者名簿を用意するにしても、選ぶのは学校任せが実態のようである。しかし、教員免許を持っていても、若い大学卒は不採用になった者が多く、力量の保証がない。さらに、採用の時期が一定でなく、初任者研修もない。学級崩れが起きる可能性も大きい。最大の問題は産休代替教員がなかなか見つからないことである。その結果、教頭が担任するなど、大変な思いでやりくりしている学校もある。

実は、ある市では、教委のメンバーとして数人の代替教員を抱えているという。日常は教委の仕事、例えば一般業務や研究・調査を行っているが、いざ学校で代替教員を必要とする場合、学級担任などを行うのである。

市の代替教員をすべて充足できるかは、その年度によって違うであろうが、教委に代替教員が存在することは、学校として心強いであろう。

教員の勤務体制を考える場合、長時間労働のみが課題ではない。今回、文科省は、学校徴収金未納者への対応を、教員から設置自治体に移管する措置をとったが、学校環境のよりよい方策を創り出すために、きめ細かな改善措置を行う必要がある。

その意味で、文科省の報告書が、「学校指導体制にふさわしい教職員の在り方」とされているように、職務の在り方全般について、実効性のある改善方策を期待したい。

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