【連載】教師のための人間関係づくり 第15回 教師が助けを求めるコツ

明治大学文学部教授 教師を支える会代表 諸富祥彦

 

○自ら「助けを求める力」は教師に必要な「能力」

教師をとりまく状況は、ここ数年、ますます困難の一途をたどっています。

仕事は多忙化するばかり。子どもへの関わりも難しくなり、小学校6年生の子どもから「ババァ、お前の下手くそな授業、受けてやっているんだ。ありがたく思え!」と口汚くののしられた人もいます。保護者の視線も厳しく、若手の教師には、「子どもも生んだことがない、あなたに担任が務まるのかしら」ときつい言葉を投げかけ、ベテラン教師には、「もう50代も半ばで、体も動かないでしょうに、担任ができるのかしら」などと皮肉ります。

まさに今は、「教師受難の時代」です。
こんな状況の中で、今、教師に求められる新たな力として注目されているのが、「援助希求力」(助けを求める力)です。自分に有効な援助を与えてくれる人を探していく力が、これからの教師には、必要となってきているのです。

具体的には、次のようです。

(1)まず、同じ学年の中で、親身に相談に乗ってくれる人を探しましょう。学校の多くの活動は学年単位です。同じ学年の教師の中に、支えてくれる人がいるのが理想的です。
(2)それが無理なら、管理職や教務主任、スクールカウンセラーや養護教諭など、力になってくれる人を探しましょう。「今の勤務校に一人でも、何でも話せる人を見つけておくこと」はとても重要です。
(3)それも無理なら、かつての同僚、初任研の時の同期の仲間、研究会の仲間など……、広く目を向けていきましょう。

悩みを抱えている先生方の多くが「安心して、悩みを話せる人が誰もいない」と嘆かれます。けれど、本当にそうでしょうか。思い込みかもしれません。視線を低くして、広く探しましょう。どこかに誰か、あなたを親身になって支えてくれる人が必ずいるはずです。

私が代表を務めている「教師を支える会」のようなサポートグループも、いまや全国に生まれつつあります。
今、悩みを抱えている先生方に必要なのは、「どうせ相談しても……」と決め付けず、行動を起こすことです。

自らアクションを起こして、「ちょっと聞いてほしい話があるんだけど」と持ちかけてみましょう。「相談すると、よけいにだめな教師と思われるのでは」と自分の殻に閉じこもってしまう若い先生も少なくないようです。そんなことはありません。

自ら「助けを求める力」「必要な援助を与えてくれる人を自分で探し、行動に移せる力」は、これからの教師に必要な「能力」なのです。

困ったときに助けを求めるのは、決して恥ずかしいことではありません。この困難な時代、教師として生きていくのに必要な「能力」です。安心して話せる人を見つけましょう。

○管理職のリーダーシップでつくる「弱音を吐ける職員室」づくりを

こうした厳しい現状の中で、教師たちに必要なのは、お互いに支え合える関係づくりです。「弱音を吐ける職員室」「お互いにお互いを支え合う職員室」づくりが急務です。

そして、このような「弱音を吐ける職員室」づくりのキーパーソンとなるのは、やはり管理職でしょう。これまで学校現場に足を運んできて最も強く感じたことの一つは、管理職によって職場の雰囲気はこれほどまでに大きく影響されるのか、ということでした。

ある学校の管理職は、教師にこう言います。「子どももしっちゃかめっちゃか、親もしっちゃかめっちゃかなこの時代。何十年も教員をしていて、一度や二度、うつになるくらい当たり前。むしろ、うつになったのは、一生懸命仕事をしていた証拠。うつは教師の勲章です。だから、みんな抱え込まずに支え合っていきましょう」

「弱音を吐ける職員室」であることが、お互いにお互いを支え合う職員室をつくります。危機的状況にあっても、その問題をみんなで共有できる学校では、一人ひとりの教師が成長していけるのです。

(おわり)

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