【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅢ 第14回 規律ある不安のない学校づくり その3

教育新聞 教育管理職研究会編

 

教職員のモラルアップに対応
○教職員の使命感を軸に

「教職員のモラル低下」が指摘される事態がある。大多数の教職員は、自身の責任と立場をよく理解し、真摯に児童生徒と向かい合っている。しかし、体罰、セクハラ、公金横領、その他の信用失墜行為などが起こり、たびたび報道されているのも現実である。一部の人物の行動が大きく取り上げられて、教職員全体の士気や意欲が損なわれるようであれば、大問題である。

法や規則に基づいて、教職員の服務の厳正や規律ある学校を目指す校長の取り組みは大事である。ここでは、改めて、教職員のモラルアップについての取り組みを通した、規律ある学校づくりに迫りたい。「教職員としての使命感」を中心とした観点からの手立てを講じることにより、教職員のモラルの向上が期待できるものと思う。

○児童生徒との信頼関係の構築(子どもたちに関わってのモラル)

児童生徒に関わる最も大事なモラルは、「教職員としての責務の自覚」や「信頼し、信頼される」という互いの関係基盤を大事にする自覚などである。多くの教職員は、子どもたちが好きであり、彼らの笑顔や成長を見るのに無上の喜びを感じている。しかし、体罰などは子どもとの信頼関係が崩れたときに多く発生する。子どもたちに信頼され、共感的な人間関係を持てれば、自身が就いた教職に対する誇りを持つことができるし、体罰に走る状況にはなり得ない。

日頃の何気ない実践の中に、大事なモラルを持った教職員の姿が浮かぶ。「児童生徒との約束を守る」「分からない子にはていねいに教える」「見て見ぬふりは絶対しない」「課業中はもとより、長期休業などにも、子どもたちと接する時間を確保する」「休み時間中に、ノート点検、連絡帳の記入など個々の子どもに対応する」などである。それらを考えたとき、勤務時間中に適正な校務ができる時間(通称「空き時間」)をどの教員にも確保するのは、管理職としての重要な使命だと思われる。

○モラルを大事にする教職員集団づくり(職場内のモラル)

一般に組織への帰属意識の低下がモラルの低下を招くといわれている。かつての教職現場には、教職への情熱や同僚との協働の心、いわゆる仲間意識があり、同僚性が強く存在した。しかし、現在、個々の教職員の価値観は一様ではない。そうしたことから、モラルを話題にする機会は少なくなった。校長として、この点に改めて目を向けたい。

体罰やセクハラ、公金横領、情報漏えいなどは、部活動等の課外活動も含めた公務中に行われる。生徒と教師が1対1になる時間や、校務を1人だけで行っている作業中にそれらの不祥事が起こりやすい。組織として、複数で対応をすることでこれらは回避できるし、担当教職員の精神的・物理的負担も軽減できる。

さらに、このことを通じて、教職員集団としてのチームワークを構築できるだろう。複数対応ならば、仮に担当者が不在であっても、対応が可能なので、組織としても信頼されることになる。

○保護者、地域との信頼関係の構築(社会人としてのモラル)

保護者や地域の人々の学校への信頼感・不信感は、子どもから伝わる先生方の言動、直接に聞いたり話したりする中から生まれる。その受け止めには、教員に、社会人としてのモラルが十分に備わっているかに関わっている場合が多い。

「立派な大人、しかも教員である。当然分かっている」との認識には危惧が伴う。挨拶はどうか、言葉遣い、服装、接遇など、見落としがちな、ごく当たり前の事柄への指導を、改めて考えるべきである。また学校から発する情報から、信頼を損ねる場合もある。学校や子どもの状況が正しく理解されるように、学級だよりや近年のICTを使った情報伝達手段などについて適切・有効に使うよう指導したい。

もちろん、担任個人の携帯電話やメールアドレスを使用するのは、危険であるとの周知は、忘れないようにしたい。

教職員のモラルアップこそ、教育活動の質を高め、教職員による不祥事をなくし、学校への信頼を得る基盤である。改めて、校長はこのことに向き合いたい。

こうしたことを、経営の重点に置こう。そして、校長自身の人格・識見に関わり、モラルを重んじる姿が即ち、教職員への指導であるとの認識に立ちたい。