【連載】教育現場の課題をひもとく チーム学校をどう実現するか④ リーダーとしての校長の気概

帝京大学教職大学院教授 元全国連合小学校長会長 向山行雄

 

1.4年後を目指す

文科省は、今年1月に「次世代の学校・地域創生プラン」(馳プラン)で「チームとしての学校」の工程表を次のように示している。

▽今年=省内での検討、法令改正
▽平成29、30年=指導体制充実のための定数改善、専門スタッフの配置と質の充実、事務機能充実のための定数改善、事務職員研修プログラム実施
▽31年=所要の法令改正
▽32年=各地域で展開

つまり、小学校の新学習指導要領全面実施に合わせて、「チームとしての学校」を始動させる計画である。

馳プランをより充実させるためには、今年度に実施する各種要望が大切である。

全連小・全日中をはじめ各組織は「チーム学校」のために、どのような施策が必要であるか夏の終わりごろまでには、内容をまとめる必要がある。時間はあまりない。ぜひ、早急に着手するよう期待したい。

2.ベクトルを同方向に

筆者は、前号で「チーム学校」の実践例として、正規職員と非正規職員の働き方を紹介した。学校に集うさまざまな人々は、職種、勤務時間、責任の重さ、裁量権、給与、福利厚生環境など、多くの条件が異なる。したがって、学校への帰属意識、使命感、勤労意欲、教育への価値観、管理職や保護者・地域との接し方も異なる。まして、ボランティアや地域住民などは、学校へのかかわり方も千差万別である。中には、学校に対して批判的な人々もいる。

「チーム学校」では、これらの多様な人々のベクトルを同方向に向かわせる舵取り役が必須である。多くの場合、校長や副校長がその任に当たってきた。

しかし、管理職の仕事が増える一方であることから、文科省は仮称「地域連携担当教師」を置いて、コーディネーター役をさせようというプランを策定している。

基本的にこの方向は正しい。しかし、現行の教員配置数では、担当教師になったA先生のこれまでの仕事を誰かが担うことになる。つまり、新しい仕事が増えた分量だけ、「チーム学校」の総仕事量は増加する。学校はますます忙しくなる。

3.校長の〈志〉を示す

学校の仕事を軽減するために、「チーム学校」を進める。そのための関係書類作成、諸会議の開催、教育委員会との連絡調整、地元関係機関との連携、新たな担当者の設置などで学校の総業務量が増える懸念もある。「学校をスリムにする」ための施策が、かえって「学校を忙しくさせる」結果になったら、ブラックユーモアである。

「チーム学校」のために、学校をこれ以上多忙にさせない、という合意を、現時点で関係者が確認しておくことが大切である。

「チーム」という語を用いているが、スポーツのチームに比べて学校というチームは、複雑で多層的で異文化共生のるつぼである。誰かが掛け声をかけても、その声は虚空をさまよい、スルーしていく可能性が高い。

私たちは足元を見つめて、この事業の困難さをまずは自覚しなければならない。ハードルの高い仕事なのだ、という謙虚な気持ちを抱くからこそ、一歩ずつ前に進めていくことができる。ぜひ、各校長会や各種研修会、校内やPTA、学校評議員などで意見交換をしておきたいものだ。

校長が「志を高く掲げ力強く前進する学校経営」をすることが、「チーム学校」の具現化につながる。校長が〈志〉をよく吟味し、それをチームのメンバーに示す気概を期待したい。(この稿おわり)