パナソニック教育財団が成果報告会 ICTの有効活用がポイント

ICTを活用した授業実践などを支援する(公財)パナソニック教育財団(小野元之理事長)は、第41回実践研究助成一般助成研究成果報告書優秀団体表彰と特別研究指定校の中間成果報告、第40回特別研究指定校の成果報告会を、東京都江東区のパナソニックセンター東京で、8月2日に開催した。

一般助成校への表彰は、年間50万円の助成金を受けて研究に取り組んだ平成27年度第41回の一般助成を受けた74校・団体が、それぞれ成果を研究報告書にまとめたもの。その中から最優秀賞の岐阜県立郡上特別支援学校をはじめ、優秀、佳作を合せて14校・団体が表彰された。

ICTを活用したアクティブ・ラーニングのポイントが議論された
ICTを活用したアクティブ・ラーニングのポイントが議論された
■ICT機器を活用して学習の質的変化をもたらす

特別研究指定校は同財団から2年間、150万円の助成金と専任アドバイザーから期間中に計6回の訪問アドバイスを受けて研究。27〜28年度第41回指定で中間報告を行ったのは、札幌市立厚別東小学校、東京都板橋区立中台中学校、大阪府立東百舌鳥高校など6校。

このうち札幌市立厚別東小学校は、これからの子どもたちに必要な力をICT機器を活用しながら身に付けさせるために、「学習科学に基づく『21世紀型スキル』形成を促す協働学習の開発〜ICT機器を活用した実効性のある学習づくりを通して〜」を研究課題にした。

成果として、(1)ICT機器利用の増加=教員が先導して、授業でICT機器を活用していく姿を見せることで、子どもたちにもICT機器の活用が広がった。

(2)学習の質的変化=子どもたちの主体性と協働性が高まった。学習交流の中でプレゼンテーション力が向上し、教え合い、学び合いの協働学習の成果が見られるようになった。高学年では、アプリケーションなどを使った学習成果物がみられるようになった。

(3)ICTリテラシーの変化=情報源やソースを利用する際に憂慮すべきこと、配慮すべきことを意識することでICTリテラシーの考え方が浸透してきた。

(4)校内研究への反映=一斉授業、個別学習、グループ学習、ドリル学習など、場面に応じた機器の活用について協議され、ICT機器に対する新たな考えをもつことができた。

(5)授業デザインという意識変化=今後に向け、学習者の主体性発表、学習内容に合わせた単元づくりを授業デザインとしてとらえることが課題であると気がついた。

今後は、教師主導の活用から、子どもたちが中心に活用していけるようにする。そのためには、子どもたちの意識を「必要だから使いたい」と向かわせることが重要だとした。

■ICTを活用し情報モラルと道徳の授業内容を連携させたカリキュラムマネジメント

26〜27年度第40回の特別研究指定を終えて成果を報告したのは、茨城県つくば市立春日学園義務教育学校、岐阜県揖斐川町立揖斐小学校など4校。

その中の揖斐川町立揖斐小学校は、実証授業から道徳の時間と情報モラル授業の関連を明らかにし、さらに、意識調査から情報モラルに係る児童活動と学校・家庭・地域の連携について明らかにし、カリキュラムの改善を図るため「ICT機器を活用し、道徳と関連付けた情報モラル教育の推進」を研究課題にした。

まずは、情報モラルと道徳の授業内容を連携させた年間指導計画の改善を図った。情報モラルの授業では知恵を磨く領域の内容を中心に扱い、道徳では心を磨く領域の内容を扱うことで、各時間の役割を明確にし、連続して実施することで、道徳的実践意欲が高まった。

情報モラルと道徳の学習を連続して実施しない場合でも、タブレットPCの持ち帰りで、保護者を巻き込んだ家庭学習を取り入れる工夫を実施し、保護者の理解を深めることができた。さらに、情報モラルに係る児童の取り組みを支えるPTAや地域の活動による成果を検証し、活動を他の小・中学校に広げた。

今後は、蓄積したエビデンスに基づいたカリキュラムを各教科、特別活動、総合的な学習へ展開できるか。情報活用能力の育成まで広げられるかが課題とした。

総括として行われた「ICTを活用したアクティブ・ラーニング」をテーマにしたパネルディスカッションでは、ICTを活用したアクティブ・ラーニングを充実させるためには、「教師がICTを活用した学習プロセスデザインをイメージし組み立てること。学習の様相を教師と児童生徒との間で共有することが大切である」と結んだ。

詳細は同財団サイト=http://www.pef.or.jp/