【連載】クオリティ・スクールを目指す 第83回 18歳選挙権と学校の自治活動

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

社会に開かれた態度形成が必要

7月の参議院選挙への関心の一つは18歳選挙権行使であった。遅かった行使で、諸外国の9割は18歳で選挙権を持つ。

ところが、読売新聞が5月に行った18、19歳を対象にした全国世論調査によれば、成人年齢を20歳から18歳に引き下げることについて、「反対」が64%で、「賛成」の35%を大きく上回ったという。

反対する理由は「18歳に引き下げられても、大人としての自覚を持つとは思えないから」が64%で最も多く、次いで「経済的に自立していないから」が63%であった。

18歳への選挙権年齢の引き下げは、成人の間でも必ずしも賛成が多くなかった。また7月の参議院選挙では、それによって結果が左右されることはなかった。

しかし、社会の高齢化が急激に進むなかで、10代の声が今後一定の影響を与えるようになるのは確かである。それは選挙権を与えられたことに伴う、社会への関心や態度が確実に変わり得るからである。

参院選後、NHKがある高校での選挙権行使の必要性についての授業を放映していた。最初は「選挙に行かない」と全員が言っていたのが、実際の選挙に触れて最終的にほとんどの生徒が選挙権を行使するという内容であった。

特に1人の生徒が、専門学校に入学したいという希望を持っていたのが、学費が足りなくて断念した経験から、候補者たちの掲げる選挙公約を比較し始めたことが大きな関心につながっていた。

現在の学校はキャリア教育が熱心に行われているはずであるが、社会の動きのナマ情報が伝わっていない感じである。社会の動きやシステムなどと自己の将来とを重ねて考えることができれば、生徒の関心も増大するのではないか。

ところで、学校は自治意識を育てるために小・中・高校で児童・生徒会の組織がある。会長選挙などで関心を持たせる機会はあるが、私どもが行った特別活動調査(2013年)では、「十分行われていますか」に対して「かなりそう思う」は小学校39・1%、中学校34・3%、高校14・3%であった。特別活動への意識の高い教員を対象にした調査で、この結果である。

18歳選挙権は、単に投票行動のみが問題なのではない。校内の自治意識を十分学ぶことで社会や政治への関心を一層高める必要がある。次期教育課程は、「社会に開かれた教育課程」を掲げているが、何よりも学校教育が社会とのつながりを強める必要性は高くなっていくのである。それは必然的に社会や国家の課題への関心と結びつく。またそれは、個々の生徒の社会的自立を目指すことでもある。

学校教育における自治活動を見直す必要があるといえるであろう。