【連載】校長のパフォーマンス 第65回 ボート型とオミコシ型

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

アメリカは「ボート型」、日本は「オミコシ型」という話を聞いたのは、ずいぶんと昔、1970年代の頃である。何の話かと言えば、リーダーシップのスタイルのことである。

70年代の頃からか、アメリカの企業の業績が低迷し、代わって日本の企業が世界に進出していた。企業経営に関してはアメリカが先進国で、日本はそれに追随しているだけと思われていたのが、日本の進展が急激であったために組織を動かすリーダーシップのあり方や仕事の仕方などへの関心が高まっていた。例えば、アメリカは働いている人々の担当する職務内容がはっきりしていて、上司は決められた仕事をきちんと果たしているかに注意を向け、目標達成に向けて監督を強化する傾向があるという。

それに比べると、日本は仕事の範囲が明確でなく、上司は部下の能力を見ながら仕事を割り当て、全体として成果が上がるのを期待する。集団の力を強調するため、和が大切にされ、根回しが重視される。

このような企業風土では自ずとリーダーシップのあり方が異なってくる。アメリカは上司の下での目標達成を重視するため、上司の権限を強く考えるようになる。そこで「ボート型」のリーダーシップが生まれる。そのボートはカッター型である。ボートの後ろにコックスが座っていて、メガホンを持って、右行け、左行け、と漕ぎ手に号令する。ボートの前方を見ているのはコックスだけ。漕ぎ手は懸命に号令にしたがうから、スピードが出て目標達成が早くなる。

アメリカの大統領はその典型で、その権限は強大である。時に各国に号令する傾向がある。それに憧れ、真似たのがロシアの大統領制への移行であるという。

日本はどうか。首相の存在は大統領ほど権限が強くない。企業では会議に先立って根回しが行われるように、トップの権限のみで決まるわけではない。外国人が日本の会議で驚いたのは、話し合いが行われても何が決まったのか不明だが、その後きちんと仕事が行われていくということであった。当時はそんな話が伝わっていた。

そこで「オミコシ型」であるが、「ワッショイ、ワッショイ」と練り歩くオミコシにリーダーはいるであろうか。前方で団扇を持って囃している人物がいるが、あれがリーダーであろうか。それにしては、オミコシは右に左に大きく蛇行するなどして、なかなか鎮守の森にたどり着かない。実は神輿を担ぐことに意義があって、参加することを重視する傾向が強いとされている。組織維持である。

その後、アメリカ型と日本型のよいところを統合しては、という企業理論が増加した。PM理論もその一つであるが、しかし現在は企業の進化が急激で、その取り組みは多様で複雑である。