【連載】国際バカロレアを知るために 第30回 必要コストについて

都留文科大学特任教授 武蔵野大学教育学部特任教授
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

前回に引き続き、IBにかかる費用についてです。

IB教育を実施する学校には「関心校段階」「候補校段階」で参加が必須のIBO主催のワークショップとして学校管理者向けの「アドミニストレータ・ワークショップ(カテゴリー1)」があり、早期登録は860SGD(約7万円)、通常登録は940SGD(約8万円)。「確認訪問」までに参加必須なワークショップとしてコーディネータ向けの「コーディネーション・ワークショップ(カテゴリー1)」および各科目の教員向けの「科目ごとのワークショップ(カテゴリー1)」があり、費用は「アドミニストレータ・ワークショップ(カテゴリー1)」と同額であるのは前回書きました。

この金額は、研修費として考えると(いずれのワークショップも3日間)。多少高額という印象を持たれるかもしれません。しかし、内容的にはそれだけの価値のある内容で、参加した一条校の先生方からは「参加してよかった」という声が上がります。それはこのワークショップは、講師が一方的に話をする形ではなく、アクティブ・ラーニングの担い手になるIB教員が、アクティブ・ラーニングを体感する形で進められるからだと思います。

そしてこのワークショップについて、今年度と来年度は、文科省がIBOと協議の結果、一定の要件のもと、受講料を無料とする措置を取っています。この機会に、さまざまな教育関係者が参加されるとよいように思います。この夏の8月3日から5日まで、東京学芸大学附属国際中等教育学校を会場にして行われたワークショップには、約400人が参加し、そのうちの約300人が無料でした。

さてここまで、IBに必要な費用について書いてきました。IBには高額の費用が必要との誤解を払拭するために書いてきたわけですが、示した金額を見て「やはりお金がかかる」という印象を持つ人もあるかもしれません。とりわけ子どもの6人に1人が貧困といった中で、IBに違和感を持つ場合もあるかと思います。

しかし、IBの導入は、目標とされる200校だけの問題ではなく、日本の教育全体の変化につながるもの、47都道府県に生まれるIB校が、それぞれの地域の他の学校に何らかの影響を及ぼし、総体として日本で学ぶ子どもたち全体によりよい教育(それは新学習指導要領の中で語られるこれからの日本の教育)を提供していくことにつながるのだという考え方が大切だと思います。

必要な教育には、資金が注ぎ込まれるべきでしょう。IBも、その「必要な部分」の一つであると考えます。必要な教育には資金が使われる。それが文化国家としての在り方です。

(注)記載内容は昨年9月現在のものであり、今後変更される可能性があります。昨年9月1日時点のレート【1SGD(シンガポールドル)=84・5円】で計算しています。

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