【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(1)

監修 教育新聞論説委員会

 

社会に開かれた教育課程 目指すところを社会と共有・連携

「審議のまとめ」は、2030年の社会、さらにその先の豊かな未来を築くために、教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割を示すことを意図している。また学校を変化する社会に位置づけ、教職員間、学校段階間、学校と社会との相互連携を促すため、初等中等教育の総体的な姿を描くことを目指している。

こうした意図や目標のもと、新しい時代にふさわしい学校文化の形成や学校の意義を再確認し、人生を主体的に切り開く学びを求め、そのための教育課程の理念を「社会に開かれた教育課程」としている。

教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を子供の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であり、その編成主体は各学校である。

この基本は、今回の学習指導要領改訂に向けた道筋でも変わらない。これからの教育課程には、社会の変化に目を向け、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」としての役割を期待し、次の3点を重視している。

▽社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していく。

▽これからの社会を創りだしていく子供たちが、社会や世界に向き合い、関わり合い、自らの人生を切り開いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し、育んでいく。

▽教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりして、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させる。

次期学習指導要領は、新たな教育課程の理念である「社会に開かれた教育課程」を実現するものである。各学校は「審議のまとめ」が示す「新しい学習指導要領が目指す姿」「育成すべき資質・能力について—何ができるようになるか—」「各教科等を学ぶ意義と教科等横断的な視点を踏まえた教育課程の編成—何を学ぶか—」「各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実—どのように学ぶか—」「幼児・児童・生徒の発達を踏まえた指導—子供の発達をどのように支援するか—」「学習評価の充実—何が身に付いたか—」などをもとに、「社会に開かれた教育課程」の全体的な構造や具体的な内容の理解が重要である。

そして、年内に出される答申で再確認し、28年度末に告示される新学習指導要領の周知・徹底を図り、新教育課程を編成することになる。

以上を基本とし、新教育課程を編成・実施する際に、特に次の点に留意する必要がある。

▽教育目標を、「社会や世界の状況を幅広く視野に入れる」「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」視点から、家庭や地域と一体となって見直し、新たに設定する。

▽教育課程の編成に当たって、「資質・能力の三つの柱」およびこれを受けた各教科等で育成する資質・能力を重視し、各教科等の指導計画に具体的に位置づけるようにする。

▽教育課程の編成に当たって、資質・能力の育成に重要な「アクティブ・ラーニング」の位置づけを明確にし、各教科等の指導の改善・充実を図るようにする。

▽教育の質の向上を図る「カリキュラム・マネジメント」を教育課程に位置づけ、学校・家庭・地域が一体となり、教科横断的な視点での内容の組織的な配列、PDCAサイクルの確立、教育内容と人的・物的な資源の効果的な組み合わせに取り組むようにする。

(担当・寺崎千秋論説委員)

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