【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南⑥

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

9月
目標の意識と取り組みの開始 視点を明確に示してリードする
学期の目標と取組計画の意識化を図る

9月から12月にかけては教育活動の充実・実りのときであり、そのスタートを大切にしなくてはならない。

3学期制の学校では、2学期の学校や学年あるいは自己の目標、2学期制の学校では1学期あるいは1学期後半の目標を子どもたちに意識させる。また、目標実現に向けてどのように取り組むかについて計画や見通しをもてるようにする。

校長は朝会講話の導入などでこのことを繰り返し伝え、子どもたちの目標に向けた意識が確かなものになるよう工夫する。代表委員会や生徒会、各委員会活動などに出席し、子どもたちが例えば「楽しい学校を目指して目標や課題の実現・解決に努力し互いのよさを学び合う」学校づくりの主役となり、その実現に向けて全校をリードするよう、期待や励ましを伝えるようにする。

次期学習指導要領を目指して

教職員には、学校経営の方針および子どもたちの学校づくり、そして9月の学習・生活の指導の視点を意識して授業や校務分掌に臨むよう指導助言する。

また、近づく次期学習指導要領に向けて中央教育審議会「審議のまとめ」をもとに、これまでの「論点整理」の内容で学習してきた「アクティブ・ラーニング」や「カリキュラム・マネジメント」のさらなる理解と実践に向けた取り組みを推進することを伝え、日々の授業や校内研修でどのように取り組むかを明らかにし、意欲と見通しがもてるようにする。

これらの取り組みについては、家庭や地域および学校運営協議会や学校関係者評価委員などにも伝え、理解と協力を得て共に取り組むことを依頼する。中央教育審議会「審議のまとめ」を共有する。9月の職員会や校内研修の機会に中央教育審議会の「審議のまとめ」について触れ、次期学習指導要領に関する情報を共有できるようにする。

内容は8月2日の新聞各紙の朝刊に報道されている。一般紙の記事はいわゆる目玉の部分の報道であり全容を伝えてはいない。したがって校長は全文を熟読し、何が重要でありどうとらえるかについて教職員に伝え、その構成や概要を共有できるようにする(弊紙電子版では関連記事をまとめて読めるので、全体の概要を把握できて便利だ)。

特に、時期学習指導要領に向けて、そのねらうところがこれからの変化の時代に生きて働く知、社会や人生を創造できる人間の育成を目指して知識・理解とからめて資質・能力の育成を重視し、これを「三つの柱」として示している。これを実現するための教育課程の理念として「社会に開かれた教育課程」を標榜し、「総則」を重視している。

また、教育課程を軸に学校教育の改善・充実を目指して「カリキュラム・マネジメント」の実現を求めるとともに、これと連動して指導方法の不断の見直しのための「アクティブ・ラーニング」の視点「主体的・対話的で深い学び」の実践も求めている。

さらには、初等中等教育全体や、各学校段階を通じて育成すべき資質・能力や各教科等の特質に応じた「見方・考え方」の育成、学習評価の充実、学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策などを重視して示している。これらについて学習して、教職員とその理解を共有できるようにすることが求められる。

アクティブ・ラーニングの実践を推進する

「アクティブ・ラーニング」の重視が諮問されて既に2年が経過した。その理解と取り組みへの構えは進んでいるだろうか。「審議のまとめ」では「アクティブ・ラーニング」の視点として「主体的・対話的で深い学び」を示唆している。その意味をあらためて捉え直し、しっかりと把握する必要がある。

その上で、当面は現行の学習指導要領が求めている学習活動が実現できるように努める必要がある。例えば、総則に示されている「基礎的・基本的な知識・技能の活用」「言語活動の充実」「基礎的・基本的な知識・技能を活用した問題解決的な学習」「体験的な学習」「学習の見通しと振り返りの指導」「学習課題の選択」「興味・関心等に応じた課題学習」「グループ別指導」などである。

また、これらに即した各教科等での問題解決的な学習や探究的な学習、協同的な学習などが「主体的・対話的で深い学び」となるよう指導を工夫することである。さらに、これらの指導には「個に応じた指導」が重要でありその指導力が一層求められる。学習の評価では「よさや進歩の積極的な評価」や「学習意欲の向上に資する評価」が重視されている。

しかし、文部科学省や民間の調査ではその指導力は十分とはいえない状況にある。校長は自校の教員の実態を把握し、指導力・授業力や評価力をどう高めるかについて育成計画や研修計画を作成し速やかに対応することが求められる。そのことが現在の教育の質の向上に生かされ次期教育課程につながることになる。

カリキュラム・マネジメントを確立する

各学校は、「カリキュラム・マネジメント」を通じて子どもたちが「何を学ぶか」「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」「何が身に付いたか」を組み立てていくことが求められる。「カリキュラム・マネジメント」については、これまでも各学校は「PDCA」の側面から行ってきたが、「論点整理」では、その「サイクルの確立」を強調していた。

この他の側面として「教科横断的な視点での教育内容の組織的な配列」や「教育内容と、教育活動に必要な人的・物的な資源の効果的な組み合わせ」を求め、合わせて「三つの側面」として重視し、「審議のまとめ」でもこれを重視している。

前述の「アクティブ・ラーニング」を実現するためには、指導内容や指導方法において各教科等の相互の関連を図り、子どもが他教科等で身につけて知識・技能や既習経験を主体的に活用できるようにする必要がある。また、各教科等の指導を充実するためには、地域の人材の協力や地域の自然等の活用、地域の諸機関・人材との協力や連携が必要であることは、現行の学習指導要領での実践でも明らかなことであり、いずれも「カリキュラム・マネジメント」に関する事項である。

しかしながら、これらについても諸調査では必ずしも十分とはいえない結果が報告されている。したがって、校長は自校の教育課程・指導計画およびその実践を見直しながら、学校を挙げて「カリキュラム・マネジメント」を実践し、その確立に向けてリーダーシップを発揮することが必要である。

保護者・地域に説明し理解・協力を得る

保護者や地域の人々もこれからの教育がどう変わるのかについて関心が高い。マスコミ等の情報から、わが子が質の高い教育をきちんと受けられるのか、期待と不安をもっているのである。

校長は、保護者等がマスコミ等の部分的な報道に惑わされないよう、これからの教育の方向や具体的な内容や方法の全容を順次しっかりと説明していかなくてはならない。今後の教育目標の見直しに始まる新教育課程の編成に向けてともに取り組むことが必要であるのを説明し、理解と協力が得られるようにすることが大切である。保護者会、学校通信、ホームページ、地域の会議等による広報を継続して行うようにする。

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