【連載】若手を育てる学校経営マネジメント 第1回 教育でこそ自己実現を図る

明星大学教育学部特任准教授 深井薫

 

創立140周年のスローガン発表集会
創立140周年のスローガン発表集会

それは、小学校1年生の担任になってすぐだった。「ザリガニだ、キャー」と言って、学校中を駆け回るA君。時程変更をしたら、「時間割が違う」と私の傍らで1時間言い続けたA君。入学式前日に転校してきたA君は、入学式では落ち着いていた。さぞつらかったであろうお母さんとも交流を深めることができた。後で自閉症と分かるのだが、はじめての経験で、あわてたことがよみがえってくる。

しかし、学級の子供たちは休み時間になると、さりげなくA君を遊びに誘っていた。さらには、2年間、他の保護者からの苦情は一切なかったのである。

2校目のこのとき、学級経営に目覚めたといっていいかもしれない。さまざまな個性の子が集まる学級。子供に寄り添い、一人ひとりを大事にする大切さを学んだ。子供たちの集まる学級は子供たちの安心できる居場所でなければならない。学級経営が基盤であると学んだ。

管理職になると、学級経営も学校経営も、一人ひとりを大事にする点で同じであるのが分かった。対象が子供か大人かの違いはあるが、子供にとっては、教室が居場所であり、教員にとっての居場所は職員室である。

そして3校目、女性校長のもと、「心かよわせ 夢をはぐくむ」を合言葉に実践をした。子供が将来の夢を育てるために、子供、教師、保護者、地域の人たちが、心を通わせる大切さを学んだ。管理職になってからは、この言葉を全面に出し、学校経営を行った。教員が、子供の豊かな心を育み、生きる力を育成するという教育の仕事でこそ、自己実現を図ってほしいと考えたからである。

現在は、大学で学生たちに、教員としての自己の教育理念を確立できるよう指導している。学生は教師を目指し、誠実に学んでいる。大学で学んだことを実際の学校で、2年生が「教職インターンシップ」として位置付けられた活動で実体験をすることにより、身に付けていく。この1年間の学習が学生にとって、充実感を味わい、教師としての覚悟をもつことになっていく。この活動を通して人間的にも大きく成長していくとともに、子供に寄り添った児童理解を深めていく。さらに、学生もプロの教員の学級経営や授業から、多くの学びや気付きを得ていくのである。

私のささやかな実践から学んだ人材育成について、次回から記していく。チーム学校として、校内全体の研究・研修から個人に寄り添った研修までお伝えしたい。

(前東京都稲城市立稲城第一小学校長、元東京都小学校学級経営研究会会長)