【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(2)

監修 教育新聞論説委員会

 

主体的・対話的・深い学び 教科内・間での検討・実践が重要

次期学習指導要領では「何を理解しているか」(知識・技能)、「知っていることをどう使うか」(思考力・判断力・表現力等)、「どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか」(学びに向かう力や人間性)などの資質・能力をいかに総合的に育んでいくかを改訂の視点とし、各学校が「社会に開かれた教育課程」を編成し、カリキュラム・マネジメントを通してそれらの資質・能力を子供に育成していくのを求めている。

その中で、思考力・判断力・表現力等の育成に必要なカギとなるのが「アクティブ・ラーニング」の視点であり、子供の「主体的・対話的で深い学び」をいかに実現するかという学習・指導改善のための視点であるとしている。

この「主体的・対話的で深い学び」について「審議のまとめ(案)」は、次のように述べている。

▽深い学び=習得した知識や考え方を活用した「見方・考え方」を働かせながら、問題を発見・解決したり、自己の考えを形成し表したり、思いを基に構想、創造したりすること
▽対話的な学び=子供同士の協働、教員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じて自らの考えを広げ深めること
▽主体的な学び=学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげること

そして、こうした「主体的・対話的で深い学び」の活動では、従来の言語活動や問題解決的な学習、見通しを立てさせたり振り返りをさせたりする活動等との関係を整理する必要がある、としている。

さて、この「主体的・対話的で深い学び」であるが、小・中学校の教員からは、教科や総合的な学習の時間等で、これまでも実践してきているとの声が多く聞かれる。これまで学校現場の授業を参観してきた筆者の経験からも、同様の印象は持つ。「審議のまとめ(案)」では、その点は認めているようで、「こうした必要な資質・能力を総合的に育むための学びは、特に小・中学校では(中略)多くの関係者による実践が重ねられてきている。『アクティブ・ラーニング』を重視する流れは、こうした優れた実践を踏まえた成果であり」とし、「今後は高等学校において、義務教育までの成果を確実につなぎ、一人一人に育まれた力をさらに発展・向上させることが求められている」というように、主に高校における授業改善の方針としてとらえることができる。

しかし、「審議のまとめ(案)」では同時に警鐘も鳴らしている。

つまり、「次期改訂が学習・指導方法について目指すのは、特定の型を普及させることではなく、子供の学びへの積極的関与と深い理解を示すような指導や学習環境を設定することにより、子供たちがこうした学びを経験しながら、自信を育み必要な資質・能力を身に付けていくことができるようになることである」とあるように、ややもすると授業において課題を与え作業をさせることで「主体的な学び」が、「話し合い」という形態を導入することで「対話的な学び」が成立していると教師の中には誤解する者がいる。彼らは、それが学習本来のねらいである「子供の学びへの積極的関与と深い理解」につながっていない点を認識すべきである。

今回の「審議のまとめ(案)」で、授業改善の視点として最も重視すべきは、「主体的・対話的学び」をいかに「深い学び」につなげていくかではないか。そのため「審議のまとめ(案)」では、「深い学び」と「見方・考え方」について約1ページ半を割いて説明し、その指導が各教科等での「見方・考え方」にかかっているとしている。

ただし、「深い学び」が成立するには、発達段階や個々の子どもの理解度・能力の格差も関連する。したがって、論理的思考力が発達する中学校以降の指導が「深い学び」成立の大きなカギを握る。その意味でも、指導者である教師の教科内および教科間での検討や実践が重要なポイントとなろう。

(担当・細谷美明論説委員)