【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅢ 第17回 危機・安全管理の指導力2

防災対策と防災教育
○危機管理意識の希薄化が歳代の敵

学校は、児童生徒が安心して、安全に過ごせる場所でなければならない。特に、自然災害(地震、津波等の風水害)や人的災害(火災、不審者によるもの、登下校時の災害等)への防災対策を講じるのは、管理職の責任である。

危機管理マニュアルの実効性には、教職員の危機意識の強化が欠かせない。大きな災害が起きたときには誰もが、危機感、緊張感をもつ。しかし、時が経つとその意識は希薄になりがちである。
今年7月に発生した相模原市の知的障害者福祉施設での殺傷事件は、15年前の大阪、池田小学校での悲惨な事件を想起させた。当時、各校で不審者に対する対応マニュアルの見直し、回避訓練が行われた。また東日本大震災以後、各学校では、管理職の「想定外は許されない」との強い決意のもとに、地震や津波の災害回避訓練に必死に取り組んできた。見逃せないのは、教職員が過去の災害を忘れたり、「他県の出来事で自校では起こりにくい」と思ったりするなど、危機意識が希薄化することである。

○実効性を念頭に、平素の準備は大丈夫か
▽防災計画は自校の実情を踏まえ常に見直す

想定される災害(自然現象による、人為的要因による)をもとに、各種防災計画および対処マニュアルを作成する。計画は、学校だけではなく、地域防災組織等と連携した体制づくりを踏まえたものとしたい。常に全体の児童生徒・教職員を対象としたものだけでなく、場合により、学校外や学年を対象とした災害回避等を考えた実践的なものが望ましい。特別な支援を必要とする児童生徒への対応や児童生徒の心のケアに関する計画も大切である。情報伝達から校長(副校長、教頭)の判断まで、そして、指示の伝達の手順・ルート等も大事である。

▽形骸化を排し、発生時の対処訓練を繰り返す

「繰り返しの訓練」は、児童生徒や教職員に、回避行動だけではなく、災害発生への「注意力」、発生時の「判断力」、そして「危機意識」の強化を図ることができる。そのために、訓練は形骸化を排し、各種の災害発生時に対し、在校中の対応、学校外の対応等その場に応じ、緊張感をもって訓練することが重要である。緊張感をもち、実効性を期待できる訓練の実施は管理職の姿勢と指導力に掛かっている。

[参考]
学校保健安全法

第二十九条(危険等発生時対処要領の作成等)学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の実情に応じて、危険等発生時において当該学校の職員がとるべき措置の具体的内容及び手順を定めた対処要領(次項において「危険等発生時対処要領」という。)を作成するものとする。

○実効性を念頭に、防災教育の徹底を

防災教育のねらいは、「防災教育を発達段階に応じて計画的・継続的に推進し、災害に対する予知・予測能力や危険予測・危険回避能力を身につけさせる」ことであろう。

これを教育課程に明確に位置づけ、総合的な学習の時間、学級活動(ホームルーム)や学校行事の時間等を有効に使い、計画的に学ばせたい。

▽災害知識を習得する

児童生徒の生活域に起こりうる災害について、発達段階に即して学ばせたい。低学年児童には、視覚や体験を通し、高学年の児童や生徒には調べ学習や災害マップづくり等を通し、災害の実際について学ばせたい。特に、災害は身近にあること、さまざまにあること、そして、自己の生命に関わり正確な情報に触れさせることが大事である。

▽自己防衛意識、対処法を獲得する

危険予知力や危険回避力を身につけ、自己の生命・安全を守る力をつけさせたい。それには、災害資料や体験者の話、防災機関による学習等を通したり、体験的学習を取り入れたりして、危険回避のために、「自ら考え」「自ら判断し」「自ら行動する」学習を重視したい。