【連載】ミドルリーダーの学校経営 ① 中堅が自ら育つ職場づくり

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

10年くらい前から、学校経営においてミドル・リーダーが果たす役割が注目されるようになった。

大きな流れとしては、まず学校の自主性・自律性の確立を唱えた中教審答申があり、校長の学校経営者としての地位と権限の確立を図る動きのなかで、トップ・リーダーの補佐役としての位置が与えられた。「ミドル・アップ・ダウン・マネジメント」という、管理職と教職員との意思疎通の媒介者という性格付けもされているが、概していえば、このような一連の政策動向の中でのミドル・リーダーは、トップ・ダウン型の意思決定や組織統合の実現を補助する立場として意義付けられてきたといえるだろう。

そのため、リーダーシップの担い手という点でも、主幹教諭や各種の主任という職や職責を中心に考えられることが多い。

一方、もともと学校には、公式的な職責を与えられているかどうかにかかわりなく、学校の教育活動と経営のさまざまな場面において、協働的な取り組みに率先して取り組んだり、同僚の専門的力量向上を支援したりしている教職員がいる。

大阪大学の志水宏吉教授らが行っている研究によれば、こうしたリーダーが「層」として存在している学校こそ、厳しい家庭的背景を持つ子どもであっても取りこぼすことなく、しっかり学力を保障している、教育力ある学校である。

このような自然にリーダーシップを発揮する教職員が次々に現れるかどうかを左右するカギは、より良い教育をしていこうという目標の前では教職員は基本的に対等というボトム・アップ型の職場文化である。

トップ・ダウン型とボトム・アップ型は、どちらかが絶対的に正しいというものではない。自然発生的なリーダーが主任等の職責を与えられることで、さらに力を発揮できるということは少なくない。ただし、職責を通じてミドル・リーダーを「育てる」だけでは不十分である。ミドル・リーダーが自然に「育つ」職場を作るという学校経営の観点も併せ持つ必要がある。