
8月26日の中央教育審議会教育課程部会において、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」がとりまとめられました。
具体については本紙でも詳報されているでしょうから、そちらに譲り、本欄では、今後の課題について考えたいと思います。
大きく注目されているのはアクティブ・ラーニングですが、学校経営上の課題はやはり、カリキュラム・マネジメントです。
各教科等の時数に変更はなく、現行の総授業時数も変わりません。そのうえで、小学校中・高学年で35時間分増加する英語教育や、各教科において導入が決まったプログラミング教育、さらに個々の子供たちをより丁寧に見取ることが求められるアクティブ・ラーニングも実施するとなると、学校現場の負担がいっそう増えるのは目に見えています。
文科省は教職員定数の増員を見込んでいますが、財務省との厳しい攻防が待っており、先行きは不透明です(定数増を見込んだ改訂でなければよいのですが)。現状では、各学校でなんとかやりくりをしていくしかありません。
そこで求められているのが、カリキュラム・マネジメントです。各学校で、地域や子供の実態を踏まえて、スクラップアンドビルドしながら、自校が必要と考える教育に重点的に取り組んでいくことが期待されているのです。
この事態を学校現場がどう捉えるかが、カギとなります。このような改革に対して意欲的であるか、後ろ向きであるかによって、学校間の格差がどんどん開いていくことになりそうです。
7月20日に、文部科学省で「小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方に関する検討会議」初会合が行われました(非公開)。大学研究者や小学校長などが委員となり、弾力的な時間割編成に関わるカリキュラム・マネジメントのあり方について、年度内をめどに検討が進められるといいます。
各学校では、ここでの議論の成果も踏まえて、自校に必要な教育をどうつくりあげていくのか、検討が求められます。
【岡本敦之】
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【『教職研修』10月号のヘッドライン】巻頭インタビューは、劇作家の平田オリザ氏。「分断」が顕在化した世界を生きる子供たちに、どのような力が必要か、学校はどうあるべきか。総力特集は、中央教育審議会「審議のまとめ」を徹底解説。次期学習指導要領改訂の方向性を探ります。