【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(3)

監修 教育新聞論説委員会

 

総則の抜本的改善を行う
根幹となる6つの軸を理解する

「審議のまとめ」では、学習指導要領の「総則」を抜本的に改善するとしている。その意図は、新教育課程の理念である「社会に開かれた教育課程」(前回解説)を実現するために「何ができるようになるか」など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を重視する新学習指導要領の考え方について、学校・教師がしっかりと理解するとともに、家庭や地域などの関係者と共有することにある。

また、子供たちの「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の視点、教科横断的に育むべき資質・能力の在り方、教科等間や学校段階間のつながりなどについての考え方が共有される必要を示している。

「総則」とは、「学習指導要領第1章総則」である。「小学校学習指導要領解説総則編(平成20年8月、文部科学省)」では総則を、「教育課程の編成、実施について各教科等にわたる通則的事項を示している」と解説している。「審議のまとめ」では、総則のこれまでの役割は「各教科等において何を教えるかということを前提に、主に授業時間の取扱いについての考え方や、各教科等の指導に関する留意事項を示すことに限られていた」とし、「この総則の位置づけを抜本的に見直し」、6つの軸に従って章立てを組み替え、「新しい時代に求められる資質・能力の在り方やアクティブ・ラーニングの視点も含め、必要な事項が各学校における教育課程編成の手順を追ってわかりやすくなるように整理する」としている。

6つの軸は、新総則の柱となるべき、次のものである。

(1)「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)
(2)「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成)
(3)「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実)
(4)「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導)
(5)「何が身に付いたか」(学習評価の充実)
(6)「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策)

「審議のまとめ」では、これらを改善することにより、「全ての教科等において育成すべき資質・能力の明確化」「資質・能力に基づく教育目標や内容の再整理」「こうした枠組についての考え方の関係者間での共有化の重視」「子供たちが『なにができるようになるか』を重視する視点の共有」「教科書や教材の改善」「学校や教職員の創意工夫に基づいた多様で質の高い指導の充実」などを求めている。

このように、「総則」の示し方を大転換するのは、学校の教育の質を大きく転換することを意味する。したがって、次期教育課程に向けた準備段階では、なによりもまず「総則の抜本的改善」の内容を「審議のまとめ」全体を通して研究し、理解するとともに、次の点に取り組むことが必要であろう。

(1)現行の学習指導要領の総則を学習し、その内容をあらためて確認し、理解を深めておく。

(2)現行の総則が求めている、基礎的・基本的な知識・技能の活用の学習、基礎的・基本的な知識・技能を活用する問題解決的な学習、言語活動の充実、学習の見通しと振り返りの指導等々が実践されているかを評価し確認して、できるところから改善を図る。

(3)現行の各教科等の教育課程・指導計画における資質・能力の育成の取り組みを振り返り、その成果や課題を整理しておくなど、カリキュラム・マネジメントを推進する。

(4)「審議のまとめ」の「総則の抜本的な改善」の趣旨や、学習指導要領改訂の軸となる6点などを校内研修で学習し、次期学習指導要領の全体像を共通理解しておく。

(5)総則の抜本的な改善が示す内容について、家庭・地域に分かりやすく説明していく。

(担当・寺崎千秋論説委員)

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