【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(4)

監修 教育新聞論説委員会

 

「多面的に見取る評価」を促進
具体的な参考資料をもとに

「審議のまとめ」は、学習評価について大きな変更点を示している。これまで各教科で行ってきた観点別評価の4観点(国語は5観点)をすべての教科において「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理するというものだ。

その理由として、次期改訂ではすべての教科等において教科等目標や指導を学校教育法第30条第2項が定める、いわゆる「学力の3要素」に基づき構造化すること、「目標に準拠した評価」をより実質化すること、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取い組みを促すことなどを挙げている。この点に関しては、当初は教科によって多少混乱があろうが、今後提供される文科省や教育委員会の指導資料等で対応できるであろう。

一方、学習・指導方法について「審議のまとめ」は、「教員自身が習得・活用・探究といった学習過程全体を見渡し、個々の内容事項を指導することによって育まれる思考力・判断力・表現力等を自覚的に認識しながら、子供たちの変化等を踏まえつつ自ら指導方法を不断に見直し、改善していくことが求められる」としている。子供の「主体的・対話的で深い学び」を追究していくには、学習の成果としての評価だけでなく、子供自身の学びを振り返らせ、次の学びに向かわせる指導並びに評価が必要となる。そのために「審議のまとめ」では、「評価のための評価」ではない学習評価の在り方が重要になるとしている。

ただ、このことは現行の学習指導要領でもすでに示されており、例えば「中学校学習指導要領解説 総則編」において、「評価に当たっては、生徒の実態に応じた多様な学習を促すことを通して、主体的な学習の仕方が身に付くように配慮するとともに、生徒の学習意欲を喚起するようにすることが大切である。その際には、学習の成果だけではなく、学習の過程を一層重視する必要がある。特に、他者との比較ではなく生徒一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面、進歩の様子などを把握し、学年や学期にわたって生徒がどれだけ成長したかという視点を大切にすることが重要である」としている。

つまり、「生徒の実態に応じた多様な学習」を展開し、子供一人ひとりへの指導や助言も行っている教員や学校にとっては、目新しいことではない。違う点は、前回が子供の学習意欲の喚起という点に重点がおかれているのに対し、今回は子供が「より深い学び」に向かうのも求めており、評価時における教師の助言の在り方がポイントになろう。

「審議のまとめ」の教科等に関する記載内容を見ると、教科等ごとに「見方・考え方」と「主体的・対話的で深い学び」に関する項目が設定され、ある程度の解説もされている。そして、「論述やレポートの作成、発表、グループでの話し合い、作品の制作等」といったパフォーマンス評価や、子供一人ひとりの学びの多様性に応じて、日々の記録やポートフォリオなどを活用した学習の過程における形成的な評価の重要性を提言している。

こうした点をみると、「深い学び」についての教科等・単元ごとの具体的な指導・評価事例が今後示されることで、これまで言語活動を中心に取り組んできた学校においては、ある程度の対応が十分できるのではないだろうか。問題は、「主体的・対話的な学び」も含め、現行の教育内容の中で3つの視点の学びがどの単元のどの場面で最も有効であるか、そこでの指導・評価計画をいかにするか、教科等単位で今から協議していくことであろう。

こうした学習評価の充実に向け、「審議のまとめ」では、学習評価の工夫改善に関する参考資料を作成するとしている。その内容に関しては「詳細な基準ではなく、資質・能力を基に構造化された学習指導要領を手掛かりに、教員が評価規準を作成し見取っていくために必要な手順を示すものとなることが望ましい」としているが、現行の参考資料以上に、現場にとって活用しやすいものになることを期待する。

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