【連載】校長を目指す教師のために 第2回 生徒も大人も目指せる目標を

東京都千代田区立麹町中学校 工藤勇一

 

m20160929_02学校改善のために、まず取り組まなければならないのは、目標の改善である。具体的には、教育目標や育てたい生徒像を社会が求める人材像と照らし合わせて見直すことだ。そして、定めた目標は、生徒・保護者・教師、学校に関わるすべての人々が同じイメージで理解できるものでなければ意味はない。

しかし、これがなかなか難しい。これまでも多くの学校で、教育目標や目指す生徒像がほとんど形骸化しているのを目の当たりにしてきた。教師、保護者の価値観は千差万別で、基本的にはそれぞれ自分なりの「目指す生徒像」を描いて教育を行っているのが実態だ。

確かにそれぞれの主体性を生かしながら教育活動を進めるのは大切だが、目標が定まってこそ実現していく手段が決まる。そもそも目標が一致しないのであれば、手段に対する考え方がバラバラで、確かな教育効果など期待できないだろう。

私が教育目標と目指す生徒像を見直すに当たり最も重視したのは、学校が「社会人になるための準備期間」であり、「人材育成の場」である点だ。特に注目してほしいのは「目指す生徒像」である。「他とのかかわり」「社会とのつながり」を重視し、社会で必要になるスキルを8つの態度で表すこととした。「信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する」「意見の対立や理解の相違を解決する」など、どれも、大人のわれわれにとっても難しい課題である。誰かと協働して活動すれば、意見の対立が起こるなど、私たち大人が何度も経験してきた。それらを解決する力は、経験を積み重ねながら長い時間をかけてこそレベルアップできる。それも誰もが実感できるだろう。

これら8つの「目指す生徒像」については、教育活動のあらゆる機会を通じて、生徒や保護者に対し、何度も繰り返し具体的に説明してきた。通知表にも示し、年2回評価している。目標の改善から約1年以上が経過した現在、目標が「生徒の目標」から「教師・保護者の目標」へと確実に変化してきたのを実感している。

関連記事