【連載】ミドルリーダーの学校経営 ② 職責担いすぎず自由に発想

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

近年、ミドル・リーダーの育成が課題となっている背景には、教員年齢構成の「フタコブラクダ」化がある。文部科学省の教員基本統計(平成25年度)によれば、勤務年数が10年以上15年未満の教員は小学校7.8%、中学校7.7%でしかない。これに対して、小学校では5年未満と30年以上35年未満が各18.4%で最多、中学校でも5年未満が19.6%で最も多く、25年以上30年未満の17.1%がこれに続く。

10年目といえば、教育実践でも校務でも、一通りの経験を経て自信が持てるようになる。まずは自分自身という段階から、学年、教科、分掌へと視野が広がり、自然にミドル・リーダーとしての自覚が生まれてくるころである。学校運営のさまざまな場面で力を発揮するこの層の教員が少ないため、1人が背負う責任は重くなっている。

さらに、経験年数の短い教員がミドル・リーダーに自然に「育つ」のを待つ余裕がなく、意識的・計画的に「育てる」必要性が強く意識されるようになっている。いわばミドル・リーダーの「促成栽培」である。事実、以前よりも、勤務年数の短い教員が主任などの職責を担わざるを得なくなっている。教員には、早い時期からミドル・リーダーとしての自覚を持ち、積極的に研修を受講し、職責を果たしながら学校経営の一翼を担う力を伸ばしていくことが期待されている。

いうまでもなく、ミドル・リーダーの育成は、学校の教育力を高めることにつながる望ましい取り組みだ。だが、経験の少ない教員がミドル・リーダーとしての期待を背負いながら仕事をしていく精神的・身体的負荷も決して軽視できない。管理職としては、ミドル・リーダーとして育てようとしている教員の心身の健康への特別な配慮が欠かせない。

またミドル・リーダーが立場や職責を自覚するあまり、自分を抑え込みすぎていないかにも気を付けたい。この層の教員には、慣習や前例にとらわれない自由な発想で学校を活性化することも期待されるからである。