【連載】教育の落とし穴 子どもの安全・安心を考える ③ 子供たちに逃げ場所を

中学生と日本全体における自殺死亡率の推移(警察庁の資料をもとに筆者作成)
中学生と日本全体における自殺死亡率の推移(警察庁の資料をもとに筆者作成)

名古屋大学大学院准教授 内田良

 

■中学生自殺率が過去最大に

2学期が始まり、また悲しい報道をいくつか耳にした。子供の自殺である。

昨年についていうと、中学生の自殺による死亡は、年間100件を超えて102件に達した。98年以来17年ぶりだ。しかも自殺死亡率(10万人あたりの自殺死亡者数)は、過去最多の記録を更新し続けている。

他方で、成人を含めた日本全体の自殺死亡率は減少傾向にある。自殺死亡率の数値自体は日本全体のほうが圧倒的に高いのだが、日本全体として自殺が抑制されつつあるなかで、中学生の自殺傾向が強まっている点は、重大な関心をもって受け止めるべきである。

なお、高校生の自殺死亡率も91年を下限に、概して増加傾向が続いている。件数としては、15年には241件(14年は213件)の自殺死亡事案が確認されている。

■第三の逃げ場所

昨年8月26日、神奈川県鎌倉市中央図書館がツイッターの公式アカウントを通じて発信したつぶやきが話題を呼んだ。そのツイートはこう語りかけている——。「もうすぐ2学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。(略)逃げ場所に図書館も思い出してね」。

これは、直接的には学校からの逃げ場所として、図書館があることを示すものだ。しかしこれは、たんに学校からの逃げ場所という以上の意味をもっていると、私は考えている。

子供は1日の大半を学校と家庭で過ごしている。学校で辛いことがあるのはもちろん、家庭でも辛いことがある。親とうまくいかないために、家庭にはできるだけ居たくない子供がいる。ましてや夏休みなどは学校が休みであるため、家のなかに居ざるをえないときも多くなる。

図書館では寝泊まりまではできないけれども、学校でも家庭でもない第三の居場所として、全国各地に安らげる空間があることの意味は大きい。

あなたへのお薦め

 
特集