【連載】クオリティ・スクールを目指す 第86回 アクティブ・ラーニングの進化

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

次期学習指導要領に向けたこれまでの「審議のまとめ」の最終版が、9月9日にまとまった。多様な提言がある中で、アクティブ・ラーニング(AL)について注目したい。

ALは文科大臣の諮問以来、一挙に広まった。これまでとかく「能動的(アクティブ)」のうちの「対話」のみが強調されていたが、今回は「主体的・対話的で深い学び」の言い方でくくっている。簡略していえば、これが正しいのである。

ただし、ALのみでは多様な学習活動をカバーできない。もともとALは「定型がない」と断定されていたが、各教科固有の学習活動の「見方・考え方」にはかなり幅広い方略がある。最も必要なのは、ALを基盤にしながら、その教科等のある単元における最も適切な学習過程をマネジメントすることであるが、それはかなり理想的で、一般的には試行錯誤の連続であろう。

そこで、「審議のまとめ」のALの再定義を読むと疑問が湧く。例えば、「主体的な学び」について「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる『主体的な学び』が実現できているか」とある。

実のところ、学ぶ意欲や態度形成には「動機づけ」が必要であるし、課題解決の見通しを子どもが持つように仕向けることはかなり難しい。まして自己のキャリア形成の方向性を考えながら授業に取り組むことはほとんどないといってよい。むしろ、「主体性はどうすれば育つか」が課題なのである。

学習過程の構築はカリキュラム・マネジメントが強調されるように、単元の学習過程においてPDCAが行われ授業改善の最適化を求める教師の姿勢が重要である。

ともあれ、ALが進化するためには、さらに踏み込んだ学習過程の吟味が必要である。その意味で「審議のまとめ」はALを「基調」として「何ができるようになるか」「何を学ぶか」多様な学習活動の適切性を吟味「どのように学ぶか」について積極的な説明を行っている。

また現時点でさらなる課題は残る。いわゆる汎用性の問題であるが、(1)全ての学習の基礎となる力(例・言語能力)(2)現代的な課題への対応能力(例・多様性尊重)——をどう学校の教育課程に組み込むかである。

さらに各教科等で形成する資質や能力の明確化が行われているが、学習内容との関連はこれからであろう。「学習内容の削減を行わない」と断定しているが、ALとの関連や現代的な課題の対応などで、学習内容の新たな見直しを必要とするのではないか。学校教育の質の高い学びの実現には、なお課題が残っている。そのためには、学校や教師が積極的に取り組める条件づくりが重要になると考える。