【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅢ 第19回 危機・安全管理の指導力4

苦情やトラブルへの対応

○「学校への苦情」をチャンスとして捉えよ!

学校に対して自己中心的ともいえる理不尽な要求が多くなり、これらの対応に苦慮するケースが増えている。これに対して、教育関係機関等から「対応の手引」や「事例集」「対応マニュアル」などが示されている。管理職は教員に対して、これらを活用した実践的な対応力を身に付けさせておくことが大切である。

「日本苦情白書」によれば、苦情に対して「何がその原因だと思うか」という問いに対して、「こちらの配慮不足」50.3%、「相手の勘違い」23.1%、「クレーマー」9.5%、その他8.4%等とある。つまり、苦情の半分は苦情を受ける側に問題があり、説明責任をしっかりと果たせば8割方、解決可能であるというのを認識することが大切である。企業では、苦情によっては、今後のサービス向上や新商品開発のヒントになり、より顧客満足のアップにつながるチャンスと捉え、専門の窓口で対応している。

ここで大切なのは、正当な苦情か理不尽なものかをしっかりと見極め、対応することである。

学校においても同様で、一見苦情と見える事案の中には、学校側の説明不足や学校側の死角(水面下での子供同士の人間関係や地域での出来事など)に関わる進言であったりするからである。これらはむしろ、今後の円滑な学校運営の展開のためには、生かされるべきこととして、進言に「ありがたい」と思える心のゆとりをもって、対応することが大切である。

○初期対応を誤るな!

「人は自分の思いを相手に話すことで、その悩みは半減する」と言われ、「聞いてくれた」「受け止めてくれた」「対応してくれそうだ」という充足感を与えるのが大切である。一方、「聞いてくれない」「聞き方が悪い」「誠意が感じられない」などと感じさせてしまうと、こじれる原因ともなる。企業のように専門の窓口を持てない学校現場においては、全教職員が初期対応をしっかりできる対応力を身に付けさせる必要がある。

苦情を言ってくる人に対応するのは、誰でもいやなものである。ましてやすごい口調で言ったり、挑発的に言ったりなどに対しては、対応が難しい。初期の段階で大切なのは、「冷静に、誠実に、相手の言い分を傾聴できる」ことであり、どんなに些細な内容であっても、必ず上司に報告・連絡・相談をし、学校として「正当な苦情なのか否かを判断し、適切に対応できる」ことである。

初期の窓口対応の段階で、心無い対応や意見を相手に伝えるような事態は、決してあってはならない。そのためには、実際的な事例研修などを常日頃から取り入れ、個々の初期対応能力を高め、組織としての初期対応体制を確立しておくことが大切である。

○組織で取り組め!(「チーム学校」の強化を)

一貫性を欠き、不統一な対応は、要求者に対して学校への不信を増幅させ、問題を深刻化、複雑化させかねない。冷静に事実関係を正確に把握し、それに基づいて適切な対応方針を決めることである。

複数の教職員による当該者との対応や児童生徒からの聞き取り、多様な調査など、慎重かつ迅速に行いたい。

もちろん、組織として取り組む上では、管理職の適切な判断力や指導力はもちろんのこと、時には誠意ある回答や改善策を示したり、教育委員会や警察など専門機関との連携をしたりするなど、管理職の責任において毅然とした対応が求められる。

個々の価値観が多様化し、自己本位で理不尽な多岐にわたる要求に対し、初期対応を誤ることなく、組織として臆することなく取り組むのが、まさに「チーム学校」の強化につながる。

実際の学校運営に当たっては、苦情への対応力をつけることも大切であるが、苦情を受けないための十分な説明責任と配慮が日頃から求められる。誤解を招いたり、不信感を抱かせたりがないように、しっかりと情報発信し、学校が校長の経営方針のもと、一枚岩となって取り組むことが大切である。

そのための教職員の共通理解と共通行動が必要不可欠であり、それでも学校側に非がある事案に対しては、真摯に、かつ迅速に対応すること、理不尽な苦情に対して校長は毅然とした態度で立ち向かうことが必要である。

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