【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(7)

監修 教育新聞論説委員会

 

「アクティブ・ラーニング」 3視点の要素を取り入れて

いま、学校現場はどこへ行っても「アクティブ・ラーニング」の話題でいっぱいである。すでに「アクティブ・ラーニング」をテーマにした教員向けの著書もかなり出版され始めているし、筆者も何度か、学校などに呼ばれ、先生方の前で話をしている。

「生きる力」「総合的な学習の時間」「絶対評価」「言語活動」など、これまでも、その時々の次期学習指導要領の関連資料が公表され、キーワードが話題にされるたびに、学校現場は敏感に反応してきた。今回も同じような状況が繰り返されているといってしまえばそれまでだが、今回は少し違う点もある。

特に小学校では、「アクティブ・ラーニングってこれまでもやってきたことですね」といった声が多い。中学校でも「すべての授業では難しいけれど、今でもやっていますよ」という声が聞かれ、なにか「拍子抜けした」という感想が多い。

そもそも「アクティブ・ラーニング」が次期学習指導要領に向けた改訂過程の大きな柱の1つになった経緯は何なのか。

「アクティブ・ラーニング」なる言葉が文部科学省から発信されたのは、平成26年11月に出された中教審への諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」の中の「……必要な力を子供たちに育むためには、『何を教えるか』という知識の質や量の改善はもちろんのこと、『どのように学ぶか』という、学びの質や深まりを重視することが必要であり、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や、そのための指導の方法等を充実させていく必要があります」の文からと通常考えられている。

しかし、実際はこれより2年前の24年8月に出された中教審答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」の中で登場している。それは「学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要」である。つまり、大学におけるこれまでの講義形式の授業に質的転換を図る手法として紹介されたものである。さらに、「生徒の学習到達度調査(PISA)」を主催するOECDと日本との政策対話の場でOECD側から「アクティブ・ラーニングと知識量のバランス、習得すべき主要な概念・知識と、それ以外の事実的知識を構造的に捉える必要がある」との指摘を受けたことも影響しているといわれている。

以上のように、アクティブ・ラーニングは、主体的な学習形態ではなかった大学(一部の高校も)改革の一手法として登場したものであり、「総合的な学習の時間」など、主体的な学習を着実に推し進めてきた教員や学校にとっては目新しいものではないため、先の感想につながるのである。なお、「審議のまとめ」では学びの過程を構成するのが「主体的・対話的で深い学び」であり、アクティブ・ラーニングの3視点として紹介しているが、そのうち「深い学び」はこれまで小・中学校で十分に実践できていないこれからの課題であることは、本紙9月8日付のこの欄で筆者が述べた通りである。

「審議のまとめ」では、今後、各学校がアクティブ・ラーニングを着実に授業レベルに定着させ「主体的・対話的で深い学び」を子供たちに身に付けさせていくために新たな提言をしている。その1つが、小・中・高校を通じて学習指導や生徒指導の基礎単位となる学級に着目し、教科においても子供一人ひとりの資質・能力の育成を、キャリア形成を視野に指導していくキャリア教育の推進・充実を強調している点である。

具体的には、教科指導における学習内容や特別活動におけるさまざまな活動の内容を見通したり振り返りをさせたりして、常に自己の生き方を考えさせ、自己のキャリア形成につなげる態度を身に付けさせるなどである。いずれも、子供の活動すべてにおいて「主体的・対話的」に「深く考え自ら選択・判断させる」要素を入れることがキーポイントとなろう。

(担当・細谷美明論説委員)

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