【連載】ミドルリーダーの学校経営 ③ リーダーシップの分散化

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

校内で意識的・計画的にミドル・リーダーを「育てる」方法として、主任などの職責や学校運営上の重要な仕事を任せるというものがある。その場合、管理職から仕事を割り当てるだけでなく、教員からの自主的な提案を可能な限り採用していくと、ミドル・リーダーが「育つ」土壌を耕すことにもなる。

管理職としては、ミドル・リーダーに教員との連絡役を期待するだけでなく、教員自身の得意分野で文字通り周囲をリードする機会を積極的に準備するようにしたい。

ところで、管理職がリーダーシップを独占するのではなく、ミドル・リーダーたちが随所で力を発揮している状態は「分散型リーダーシップ」と呼ばれ、近年、学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップとして世界的に注目を集めている。分散型リーダーシップが働いている学校では、学校の教育目標がよく共有され、子供たちの背景や必要に応じたきめの細かい指導が行われていることが指摘されている。

テストで測られる学力も高くなる傾向が見られる。これは、リーダーシップの分散化(共有)が教育目標を達成するための取り組みに対する教員の主体性を高め、協働的な活動を促進し、学校の諸課題に対するより良い問題解決を可能にするからであろう。

OECDが2013年に実施した「国際教員指導環境調査(Teaching and Learning International Survey:TALIS)」では、分散型リーダーシップを「学校の意思決定に校長だけでなく、学校運営チームの校長以外のメンバーや副校長、教員等が参画している」状態と定義し、その他の学校の特徴との関連性を探っている。その結果、日本を含む多数の国で「相互に尊重する学校の雰囲気」との間に一貫した関連性が見いだされた。

ミドル・リーダーが「育つ」には、年齢や経験、公式の職責などにかかわりなく、自由に意見を述べ提案できること、互いに健康状態や家庭の状況などにも配慮しつつ、仕事の価値と頑張りを認め合えることが重要なのである。

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