【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(10)

監修 教育新聞論説委員会

 

「プログラミング教育」 相応の準備が求められる

小学校において「プログラミング教育」が必修化される。「審議のまとめ」では、第1部「学習指導要領改訂の基本的な方向性」の「5.何ができるようになるか—育成を目指す資質・能力」の「教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」における「情報活用能力(情報技術を手段として活用する力を含む)の育成」において、プログラミング教育が求められる背景や意義等を、以下のように示している。

「身近なものにコンピュータが内蔵され、プログラミングの働きにより生活の便利さや豊かさがもたらされていることを理解し、そうしたプログラミングを、自分の意図した活動に活用していけるようにすることもますます重要になっている。将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる『プログラミング的思考』などを含むプログラミング教育の実施を、発達の段階に応じて位置付けていくことが求められる」

プログラミング教育の実施について、小学校ではプログラミング教育を行う単元を位置づけること、中学校では技術・家庭科技術分野においてプログラミング教育に関する内容を倍増すること、高校では情報科の共通履修科目の新設を求めている。これにより、小・中・高校を通じたプログラミング教育の充実を図るのをねらっている。

小学校のプログラミング教育の定義については、文部科学省の有識者会議が平成28年6月16日に公表した「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」(議論のとりまとめ)において、次のように示している。

「子供たちが、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験しながら、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気づくこと、各教科等で育まれる思考力を基盤としながら基礎的な『プログラミング的思考』を身に付けること、コンピュータの働きを自分の生活に生かそうとする態度を身に付けること」

同有識者会議は、小学校のプログラミング教育の実施に当たっての留意点として、「コーディングを覚えることが目的ではないことを明確に共有する」「『主体的・対話的で深い学び』の実現に資すること」「学習を通じて子供たちが何に気付き、何を身に付けるようにするのかなど、指導上のねらいを明確にする」の3点を示している。

また各小学校では子供の姿や学校教育目標、環境整備や指導体制の実情等に応じて、教育課程全体を見渡してプログラミング教育を行う単元を位置づけていく学年や教科等を決め、地域等との連携体制を整えながら指導内容を計画・実施していくことを求め、学校の主体的な取り組みを期待している。単元等における実施例としては、次の内容が挙げられている。

▽理科=電気製品が効率的に動くようプログラミングが活用されていることに気付かせる▽算数=コンピュータで図を作成しプログラミングと数学的な考え方の関係に気付かせる▽音楽=コンピュータでさまざまな長さ、高さの音の組み合わせを指示して作曲する▽図画工作=描いた絵をコンピュータに取り込んで動かし異なる視点で美しさを感じ取る▽総合的な学習の時間=暮らしとプログラミングの関係を考える▽特別活動=クラブ活動などでの実施

これらの実施に当たっては、教員の育成の問題、教員の負担増の問題、コンピュータの数やネットワーク環境の問題などの課題も多く指摘されている。こうした環境整備も含めて中央教育審議会が答申を出すことになっている。

各学校では、今後、教員の指導のための研修や地域人材も含めた指導体制の確立、教育課程・指導計画への位置づけ等々、相応の準備が必要であり、教育委員会の予算化や支援等の対応も必要である。

(担当・寺崎千秋論説委員)

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