【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南⑧

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

11月
育ちを広げ、高める 教育の充実・実る子供たち
この学校でよかったという実感を
一人ひとりの実りの姿が見えているか

11月は年間の中で教育活動が充実し発展するときである。子供たちの進歩・成長の姿を実感できるときでもある。学習に集中したり、行事をこなしたりなど、教育課程が円滑に展開されていることが多い。

9月、10月と子供たちの成長の芽を発見し、それが伸びるように努力してきた成果がこの時期に花開き実となっていく。しかしながら、ともするとそのムードに流されて、子供一人ひとりの具体的な進歩や成長の姿、事実の把握を忘れがちになる。成長の姿を見て・見つめて・見極めることが大切である。その視点は、学校経営方針に示してある。学習指導で求めるもの、生徒指導で求めるもの、そして、この時期の子供の育ちに関して目標とし期待している姿など、改めて確認しながらその実現の姿や状況を把握し、さらに先に進むようリードするのが校長である。

主体的・対話的で深い学びの姿を見いだす

子供たちの言語活動は活発に行われているか。すなわち、思考し判断し表現することを主体的に行っているか。習得した基礎的・基本的な知識・技能を活用して問題解決に取り組んでいるか。学習の見通しや振り返りをしっかり行い、新たな問いを見い出し次の学びにつなげているか。友達と対話したり、話し合ったりし、協力して学習を進めているか。そして、学習に意欲的に取り組んでいるか。これらは、全て、現行の学習指導要領に基づく、現行教育課程で実現すべき子供の学びの姿である。

こうした学びの姿から一人ひとりの資質・能力の進歩や成長をしっかりと見取ることが必要である。校長は各教室の授業をしっかりと観察して、子供一人ひとりにどのような力がついているかを具体的に捉えるように努め、進歩・成長の事実や姿を教師と共有できるようにする。

学校生活づくりの主役となる

学校は子供にとって楽しいところであり、楽しい生活をつくる主役は子供たちである。この時期は、特別活動の学級活動、児童会活動や生徒会活動、委員会活動などの活動が活発になり充実するときである。学校生活を豊かなものするために、アイデアや知恵を出し合い協力して自分たちが目指す児童会づくり、生徒会づくり、学年づくり、学級づくりに取り組む。これらは自分たちの学校づくりでもある。

校長は、こうした取り組みに力を発揮しているリーダーのがんばりや力の発揮をしっかりと把握し、校長や教師も応援したり、共に努力したりすることを伝える。子供を生活づくりの主体者にする。

学校生活は、各委員会活動、係活動、当番活動などの地味な日常活動によって成り立ち、学校生活を健全に送ることができる。こうした活動に精を出したり、真面目に取り組んだりしている一人ひとりの姿を観察し把握する。そのがんばる姿を認め、褒め、感謝し、励まして、自分たちがこの学校、母校の伝統を受け継ぐとともに、新しい歩みをつくっているんだという自負や実感をもてるようにし、自信と誇りを育むようにする。

学年・学校が一つになる

地域によって違いがあるが、体育祭・運動会、音楽祭・音楽会、学芸会、演劇祭、展覧会、学習発表会など、年間の中心的な行事がこの時期に行われる。その意義は、学校経営的には、全校の子供たちが行事の目標に向けて一つになり、力を合わせて成功させることである。

校長として特に留意する点は、結果や成果の素晴らしさや見事さにばかり目を向けるのではなく、つくり上げていく過程をしっかりと観察して、そこに子供たちの工夫や努力や成長などの姿を見いだすことである。

これらの行事は、各教科等で身に付けた知識・技能や態度等の活用や応用であり、総合的な発揮である。

したがって、どのような力が身に付いているか、発揮しているかなどを校長としての識見と広い視野から見いだし、そのよさや進歩を子供たちに伝え、この学校でよかったと実感できるようにする。

m20161110_02実りの見えない子はいないか

一人ひとりの実りを期待するときであるが、実りの見えない子や乏しい子も存在する。一人ひとりの子供を観察していると自己実現できていない子が見えてこよう。いや、見いだしていくのも校長の目である。子供の学びの姿や活動の姿は全体のよいと感じるものを見慣れると、とかく目立たない子供やおとなしい子供の姿を見失いがちである。担任教師が気付かないこともある。また、不登校の子供はどうしているか、虐待を受けていたり、貧困家庭の状況になったりしている子供はいないか、その後の対応は継続しているか、学校として組織的な取り組みが行われているかなどにも目を向けるようにする。

また、実りが薄いと捉えた子供に、他の子供がどうかかわっていくか、どのようにかかわることが必要か、などを校長として教師たちにアドバイスしていくことが求められる。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」を、子供、教師ともども大事にし、みんなで実っていくようリードするのは校長である。

認めて・褒めて・さらなる高みへ

子供たち一人ひとりの実りを発見し見いだしたらどうするか。まずは子供に返そう。小さなことでも進歩しているところ、育っているところ、努力しているところ、力を発揮しているところ、協力しているところ、みんなのためにがんばっているところ等々を、言葉にして伝えよう。子供は校長先生から認められ、褒められたら、うれしさは一層であろう。また、クラスとして、学年として、委員会や児童会、生徒会など、集団としてのよさや進歩等は、全校朝会などで全員に伝え、みんなで進歩や成長を喜び合い共有する。そして、ここにとどまらずに、さらに高みに向けた目標を立て、前進するよう励ますようにする。

教職員には、職員会議などで子供たちの進歩や成長の姿を伝え、評価し、これまでの創意工夫や努力を労い感謝の意を伝える。子供の育ちは教師の育ちによるものでもある。アクティブ・ラーニングの視点である「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の取り組みに見られた創意工夫や努力の姿を具体的に各教室の授業から取り出し、校内研究・研修などの際に伝え、広げるようにする。課題ばかりに目を向けるのではなく、教師も自分の進歩や成長に目を向けて、さらなる高みを協働して目指すようにリードする。

子供たちの進歩や成長の姿、それを育んだ教職員の創意工夫や努力、進歩、協力の姿を家庭や地域に広報することも大切にしたい。これが家庭や地域のさらなる協力や援助を引き出す引き金ともなるからである。学校通信、ホームページでのお知らせ、地域での諸会合での広報、保護者会での話など、あらゆる機会に子供の成長に向けた学校・教職員の創意工夫や努力の姿を伝えるようにする。

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