【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(11)

監修 教育新聞論説委員会

 

次期学習指導要領の骨格を示した「審議のまとめ」でしきりに使われる言葉がある。それは「構造化」である。これまでの学習指導要領においては、校種ごとに教科等の内容を系統的に示してはいたが、学校段階ごと、教科間の関連性に配慮した記述とはなっていなかった。

「審議のまとめ」の中でも、「義務教育や高等学校教育を終える段階で身に付けておくべき力を踏まえつつ、各学校・学校段階で学ぶべき内容を見直すなど、発達の段階に応じた縦のつながりと、各教科等の横のつながりを行き来しながら、学習指導要領の全体像を構築していくことが必要である」と指摘している。実際、各教科等のワーキング・グループで作成されている資料では、教科の目標など小・中・高校全体を通しての構造図が随所に示されている。

これは、今年度から制度化された小中一貫教育により、校種の枠組みを超えた教育課程の編成が現実化するのを踏まえてのことはもちろん、学校教育全体を社会の中の一機能として位置付けた考えによる。とりわけ中学校は、小中一貫、中高一貫教育それぞれで重要な役割を担っており、制度的な一貫校でなくとも、こうした視点で中学校教育の在り方を再認識する必要があろう。

小・中学校の接続に関して「審議のまとめ」は、同一中学校区内の小・中学校間の連携の取り組みを次のような具体例をあげて述べている。例えば、各学校で育成を目指す資質・能力やそれに基づく教育課程の編成方針について、学校評議員会等の学校・家庭・地域間や校長会等の管理職間で共通理解を図り必要に応じて改善を図るとか、小・中学校の教職員による教科等の共通テーマでの学習指導の在り方についての合同研修会を定期的に開催するといったものである。

また中学校が関係小学校に呼びかけて行う6年生を対象にした「体験授業」や「部活動体験」、算数・数学など学習でのつまずきを防止するための「学習指導法プログラム」の合同プロジェクトなど、すでに実施しているところもあり、大きな成果を収めているといった報告もされている。ただ、数学や理科、あるいは英語など中学校の教員が小学校高学年の学級に行って授業を行ういわゆる出前授業は、中学校の教員の負担が過重となる場合が多いため、教育委員会も交えた検討が必要である。

中高の接続に関しても、一貫校以外では従前から、高校が主催する授業や部活動等の体験会、中学校が主催する卒業生や高校教師からの話を聞く会、地区内の管理職や生徒指導主任間で開催する連絡協議会等があった。

今後は、教科等の内容が構造化・系統化するのに伴い、中高の同一教科での合同教科部会や合同研究授業、あるいは地域の素材を共同で教材開発するといった取り組みも考えられる。

このほか、「審議のまとめ」では、高校での履修科目の選択について、選択教科が実質的になくなった中学校に対し、生徒に「適切な教科・科目を選択できるよう指導の充実を図ることが重要である」としている。高校ではシラバスに対する説明会などの校内における指導は今も行われているが、中学校での教科が高校ではどのような科目になり、学習内容がどのように発展していくのかを3年生段階を中心に教科授業の中で中学校の教師が指導していくことは必要であろう。

とりわけ、今回の改訂で大きく変わる地理歴史科や公民科への理解は中学校の教師も十分に心得ておく必要がある。

「校種間接続」の問題は、有名な「四六答申」など古くから中教審レベルでも検討されてきたが、十分な成果をあげることができなかった歴史がある。しかし、近年の関係法令の整備や改正等により、徐々にその基盤が築かれてきている。今回の改訂でのキーワード「構造化」が学校現場でどう実現できるか。その成功の是非を握っているのが「現場にわかりやすい学習指導要領」である。解説や指導資料等の作成の際にも、十分な配慮を期待する。

(担当・細谷美明論説委員)

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