【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(12)

監修 教育新聞論説委員会

 

「高校における教科・科目の再編」 新しい時代に必要な資質・能力

小・中学校教育の改善については、義務教育の構造改革を掲げた平成17年の中教審答申以降、全国学力・学習状況調査の実施や平成20年学習指導要領における学力目標の明確化、義務教育学校制度の創設等が実施されてきた。現在進められている改革は、大学教育とともに高校教育の改革を、高大接続改革の中で実現しようとするものといえる。

審議のまとめによると、高校の教科・科目の構成については、大幅な再編が予定されている。

具体的には国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、家庭、情報の各教科の科目構成に見直しが行われる。国語は科目数に変化はないが、科目の名称とそれぞれの内容が大幅に改められる。地理歴史は、世界史の共通必履修を取りやめ、歴史と地理の総合科目が共通必履修となる。また「探究」科目が選択科目として設定されるのも特色である。公民は、現代社会が廃止され、「公共」(仮称)が新設される。数学はこれまでの「数学活用」が廃止され、「数学1.2.3.」並びに「数学A・B」に加えて「数学C」が新設される。理科は、「理科課題研究」の廃止以外の科目構成に変化はない。

外国語も大幅な見直しが行われる。現行の「コミュニケーション英語基礎」「英語会話」は設定されず、新しく「英語コミュニケーション1.」を必履修に、そのほかに「英語コミュニケーション2.3.」(仮称)「論理・表現1.2.3.」(仮称)が設定される。家庭はこれまでの3科目から2科目構成に改訂。情報については、科目構成が改められる。

教科「理数」については、これまでのSSHの成果などを踏まえて「理数探究基礎」(仮称)および「理数探究」(仮称)で構成される。これまで教科「理数」は専門学科に開設される教科であったが、改訂では「各学科に共通する教科」として設定される方向となっている。

最後に総合的な学習の時間は、探究的性格を明確にして「総合的な探究の時間」(仮称)とされる。

以下、教科・科目構成の再編の趣旨と、今後の実践課題を挙げる。

第一にアクティブ・ラーニングや探究的な性格を明確にした科目構成とされていることである。小・中学校教育では、既に学力の3要素を踏まえた授業の展開が進められ、学習評価についても観点別評価が定着している。高校の場合、平成21年の学習指導要領改訂で学力の3要素は明確にされたが、観点別評価は十分ではなく、ともすれば知識・理解に重点を置いた教育指導がなされてきた。今後は、新しい科目の性格を踏まえ、思考力・判断力・表現力や関心・意欲・態度の育成も視野に入れた授業構成と指導方法を取り入れていくことが求められる。

第二は、高大接続改革と連動した取り組みが求められている。高校の新教育課程は、平成31年度から一部先行実施が予想されるが、同年に策定される大学入試希望者学力テスト(仮称)の大綱の内容をも踏まえた取り組みが求められる。また平成30年度の高校学習指導要領の告示を受け、探究的な学習、アクティブ・ラーニングを踏まえた授業構成の検討と導入が進むことが予想される。

第三は、義務教育との連動とともに、教育の質保証の仕組みを整えることである。改訂学習指導要領では、義務教育の学び直しの取り組みがさらに充実される。また「高等学校基礎学力テスト」(仮称)を活用して生徒の学習状況の把握を行い、改善すべき課題の解決を目指した取り組みが求められよう。

第四として、学習評価の改善が挙げられる。探究的学習や思考力、判断力・表現力等を育てる指導を行うためには、授業構成、指導方法の見直しとともに、評価方法の改善が必要である。この点は、学習指導要領の告示を待つことなく、来年度からでも実施に向けた取り組みを開始したい。

(担当・工藤文三論説委員)

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