【連載】ミドルリーダーの学校経営 ⑤ 支援的リーダーシップを

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

ミドル・リーダーの育成と活躍のカギを握っているのは、校長が発揮するリーダーシップであると前回述べた。校長が学校運営に関わる意思決定のほとんどをトップダウン式に行っている学校でミドル・リーダーは育ちにくい。ミドル・リーダーは、自己の裁量で判断し実行した仕事の成功にやりがいや達成感を覚えるとともに、その失敗をもリーダーとしての成長の糧にしていくからである。

ただし、ミドル・リーダーに裁量を与えるだけでは十分ではない。仕事を進めていく上で直面する数々の課題や困難を乗り越えていけるように支援する必要がある。

ミドル・リーダーが必要としている知識や技能の提供を中心とする実際的な支援とともに、精神的な支援を惜しまないリーダーシップのあり方は、文字通り「支援的リーダーシップ」と呼ばれる。ミドル・リーダーに対して支援的リーダーシップを発揮できるのは、校長を中心とした管理職にほかならない。

日本におけるリーダーシップ研究の第一人者である露口健司によれば、校長の支援的リーダーシップには次のような効果が期待できる(『学校組織のリーダーシップ』大学教育出版、2008年)。まずミドル・リーダーの校長に対する信頼度が高まり、仕事をしていく上での心理的負担が軽減される。ここまでは支援的リーダーシップの効果として容易に予想できよう。注目すべきは、校長の支援的リーダーシップによる効果はそれだけに留まらない点である。すなわち、校長に支援されているミドル・リーダーは相互に信頼し合い、目標を共有し、その実現に向けて互いに協力し合うようになるのである。

学校組織におけるタテの信頼関係は、ヨコの信頼関係を増強するのである。これは「相互支援を特徴とする学校文化」をさらに育てようとするならば、まず校長をはじめとする管理職がミドル・リーダーをはじめとする教職員に対して支援的リーダーシップを発揮すべきであるのを示唆している。

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