【連載】クオリティ・スクールを目指す 第89回 コミュニティ・スクールの実践と課題

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

全国的にコミュニティ・スクール(CS)が急激に増加しそうである。ただ、課題は多く、二の足を踏む学校も多いのではないか。

日本教育経営学会東京支部は、2カ月に1度、研究会を開いている。9月は、栃木県栃木市立大平南小学校の鈴木廣志校長のCSの実践発表であった。その内容は、校長が推進するCSの着実な実践の具体的な姿で、参考にできるものが多かったが、それに加えて注目を集めたのは、CSを実践する場合の多様な課題がいくつかの資料に基づいて提示されたことであった。

その最も重要な点は、CSを構成する運営委員会の人選であるという。大平南小学校の場合は、過去3年間の学校参画プロジェクトと学校評議員からのメンバーの選出であるが、その人選は地域に向けたコーディネート役ができる人材を求めることであった。

例えば、第1回の会議で、地元にはネパール人の雇用が多く、外国語を話せるボランティアが必要という意見が出されている。そこで、地域の適材を探してくれる役割を委員が受け持ってくれたという。

ただ、地域の校長会や行政担当者の会で最も難しいとされたのは、運営委員の人選についてであった。かなり異論が見られたという。例えば、学校への利害関係意識や地域住民の暗黙の序列化、学校理解の低さなどが見られたり、逆に校長が地域の人材をほとんど知らなかったという実態もある。CSについての地域住民の理解度も高いとは言えない。任期についても、委員は1年で交替(1年継続は可能)は難しいとされる。校長が2~3年で異動する点にも、CSの継続性に課題が残る。

CSは、学校と地域の架け橋のみではない。地域自体が活性化する意味を持つ。そこで地域コーディネーターの存在は大きいが、十分なCS研修の機会がなく、協働プロジェクトを企画運営するなど、ボランティアを組織し、地域づくりを推進してほしいという期待はあるが、十分ではないという。また学校の努力だけでは限界があって、教委などの支援が必要とされる。

ただ、校内に分掌化される地域連携教員の役割の理解は、かなり進んでいるようであるが、多忙化という現状の中で地域に積極的に連携したいという教員と、できれば学校の職務遂行に注力したい教員と、意識は分散しているようである。

ともあれ、CSの必要性を認めながら、実際に実施すると多様な課題が浮かび上がるのも確かである。鈴木校長は地域との連携活動の推進に積極的で、世代間などの人的交流を進めたり、総合的な学習に郷土の偉人の功績を取り上げたりしている。

CSを成功させる道は、校長のリーダーシップによる地域人材との積極的な交流がカギになることを示した実践発表であった。

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