【連載】校長を目指す教師のために 第6回 対立を肯定する協働の学び方

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2年生の「スキルアップ宿泊」=A4紙で時間内に最も高いタワーをつくるのを競った

東京都千代田区立麹町中学校 工藤勇一

 

「個の学び方」に続き「協働の学び方」の考え方についてまとめる。「協働の学び方」として当校が特に重視しているのに「思考ツールを活用するスキル」の習得がある。ブレインストーミングやKJ法、マインドマップといったツールを活用するスキルだが、こうしたスキル習得以前に、生徒に意識させていることがある。それは「対立」である。

「みんな違っていい」「みんな違っている」のフレーズを、あらゆる場面で繰り返し生徒たちに話している。そして「2人以上の人間で何か協働で作業を行えば、程度の違いこそあれ、必ず何らかの対立が起こる。みんな違った考え方・感じ方を持っているのだから、それは当然のことであり、決して特別なものではない」と伝えてきた。しかし、頭で理解できても、いざそうした場面となるとなかなか受け入れられないのが生徒の実態だ。

多くは異なった意見を言いたがらない傾向がある。まさに対立を恐れている。もっともこれは子供の世界に限ったことではなく、大人の世界でも日常的に見られる光景だろう。会議ではほとんど発言したがらない。反対意見でも言おうものなら、「空気を読めない人」などとレッテルを貼られる場合もある。

「みんな仲良く」とは日本社会では幼いころから当たり前のように耳にするフレーズだ。確かに思いやりを大事にする日本文化の象徴的な言葉だが、「みんな仲良く」は、決して対立を否定するものではないはずだ。

「みんな違っていい」と個を尊重するのであれば、対立が起こるのは当然だ。ただ、対立が起こって問題となるのは、人が感情をコントロールするのが一般に難しいからである。経験豊かな大人でさえ、時には怒りさえ覚えることがあるのが現実だ。

「他の異なる意見を尊重しながら、アイデアを一つにまとめ上げ、新たなものを創造する」。こうしたスキルは、一朝一夕で身に付くものではない。まずは対立を受け入れ、繰り返し対立を解決する経験を通してこそ身に付けられるものである。次回からは、そのための実践を示す。

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