【連載】ミドルリーダーの学校経営 ⑥ 校内研修で教員の学び合いを

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

今なぜミドル・リーダーが必要なのかを、改めて考えたい。それは、教員が一人残らず自分の長所を存分に生かすとともに、互いを支援し合い、協力し合って児童生徒の教育に取り組める学校で在り続けるためではないだろうか。

今日まで日本の学校教育の水準が維持されてきた理由として、能力の高い教員一人ひとりの努力に加え、教員同士が自主的・自発的に協力し合い、学び合う学校組織の共同体的性格が挙げられる。

近年、諸外国では、教員が自校の児童生徒の学習や生活上の課題を分析し合い、授業改善をはじめ、教育の質的向上のために学び合う「専門家の学習共同体(PLC=professional learning community)」と呼ばれる取り組みが積極的に推進されており、これには日本から学んだ面がある。学校組織を階層化して、トップからの指示や命令を徹底する目的でミドル・リーダー育成を推進するのであれば、国際的にも認められている日本の学校組織の長所が台無しになりかねない。

学校が取り組まなければならない課題が多様化・複雑化の一途をただり、教職員の多忙化が進み、若い教員が大幅に増加する中で、このような教員組織の学び合いと協働を維持、発展させる目的の下にミドル・リーダー育成の課題を位置付ける必要がある。平成27年12月に中央教育審議会が答申した「これからの学校教育を担う教員の資質能力向上について~学びあい、高めあう教員育成コミュニティの育成に向けて~」でも、このような認識が共有されている。

この答申では、教員の成長を生涯学習的に捉えて「教員育成」との言葉を使用しているが、特に「教員は学校で育つ」との考えの下で教員の学びを支援すべきだとして、校内研修を重視する姿勢を表明している。

教員の学び合いによって学校としての教育力を高めていく校内研修は、ミドル・リーダー育成の格好の機会であり、ミドル・リーダーが中心となって活躍するのが期待される場面の一つでもある。

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