【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南⑨

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

12月
次年度の展望と計画 2年目が勝負
総仕上げと発展に向けて
総仕上げと次年度への見通しを立てる

12月は2学期の教育・学校運営を評価して、3学期・年度末(2学期制では、2学期前半の評価をして後半・年度末)につなげるときである。10・11月の段階で今年度の教育・学校運営の成果や課題はほぼ見えてきた。3学期(2学期後半)にそれらの総仕上げをするとともに、次年度にどうつなげ発展させていくかについて、展望と計画を練るのがこの時期の校長の仕事である。

新任校長にとっては初めてのことであるだけに、以下のように12月段階から意図的・計画的に取り組むようにする。さらに、これらを通じて自らの学校経営計画(学校経営案)を改善する。2年目が勝負であり、真に力量が問われる。

▽12月=学校評価等を基に教育活動・学校運営等を見直し年度末の方針を確立する
 ▽1月=教育課程を評価し、次年度の教育課程の編成方針を確立する
 ▽2月=学校運営を評価し、次年度のチームとしての学校の在り方の方針を確立する
 ▽3月=次年度教育課程に基づく指導計画を作成し、学校運営の諸実施計画を作成する年度末の教育・運営方針を確立する

4月から11月まで、自らのリーダーシップの下に全校挙げてつなぎ、発展させてきた教育活動の成果や課題を、校長として自己評価する。

第一に、学校教育目標に示す子供の姿がどのように具現しているかを校長の目でしっかりと把握する。次いで、学校経営計画に示した方針について自己評価する。自らが示した学習指導、生徒指導、学年・学級・教科等経営などに関する学校経営方針がどの程度浸透し、どのような成果となっているか。教務、生徒指導、校内研究・研修、事務等々の校務分掌組織が機能し、全教職員が一体となって教育活動・学校運営に取り組んできたか。保護者や地域の人々との協力や連携、情報交換や広報が円滑に行われ信頼の確保につながっていたか、等々である。

これらについての自己評価とともに、学校の自己評価や学校関係者評価、保護者や子供のアンケートなどの学校評価の結果を加味して、3学期の総まとめ・総仕上げをどのように行うかを明らかにする。12月末または1月始めに、その内容を教職員や保護者・地域に示すようにする。

さらには、次年度に向けた学校経営計画、学校経営方針の改善に取り組むようにする。

次期教育課程を視点に教育課程を編成する

12月に行ったこれまでの教育・学校運営の自己評価等を基に、1月は主として教育課程の見直しを行って次年度の教育課程編成方針を立て、教職員の理解を図り、これを基に次年度の教育課程の編成作業に入るように指導する。視点は「カリキュラム・マネジメントの三つの側面」の具現。体育、道徳、総合的な学習の時間、特別活動や人権教育、キャリア教育などの全体計画の作成を生かして、教科横断的な教育課程の編成を工夫する、地域等の教育資源を教育内容と関連付けて活用することを工夫するなどである。

学習指導に関しては、中教審の「審議のまとめ」が示した「資質・能力の三つの柱」の趣旨を可能な限り意識し意図して教育課程を編成する。さらに、「主体的・対話的で深い学び」を実現するアクティブ・ラーニングの視点で授業改善を目指す。生徒指導では、いじめや不登校を生じさせない人間関係の醸成や学級経営の充実を目指す。場合によってはこれらに関する最新の知見や情報について校内研修に取り入れることも指導・助言して意識化を図ることも必要である。これらの過程においても、保護者や地域住民の教育目標の見直しや教育課程編成への参加・参画を求め、共に活動・作業を行うことを可能な限り取り入れていくようリードすることも必要である。

チーム学校を視点に学校運営を改善する

教育課程の方向性が定まってくれば、これをどのような学校組織で効果的に運営していくかについて校長の方針の下に全教職員で協議する。その視点は「チーム学校」である。チーム学校の趣旨は学校運営を教員、指導教諭、主幹教諭、栄養教諭・学校栄養職員、事務職員等の教職員のみではなく、SC、SSW、ICT支援員、学校司書、ALT、特別支援教育支援員等々の多様な専門人材が参画するとともに、保護者や地域住民が一体となって教育活動を展開したり支援したりして、子供たちの教育の質を高めていくことを目指すものである。

この視点を一人ひとりの教員が確立し、校務分掌に関する職務や活動においてチーム学校の趣旨を体現した一員として機能できるようにしていく。カリキュラム・マネジメントとも一体となるものであり、校長のリーダーシップの発揮が問われる。従来の校務分掌組織を単に踏襲するのではなく、チームとしての学校運営を発展させる方向で機能するようにリードすることが大切である。

指導計画および実施計画を作成する

1月に教育課程の方向性や重点、2月に学校運営の組織や機能の改善・強化を図り、3月にはこれらを次年度にどう具現していくか、具体的な指導計画や各行事や事務作業等の実施計画を作成する。学校評価の結果を基にしたり、学校運営協議会、学校評議員会等々の意見や提言を取り入れたりしながら、1・2月に並行して作業を行うこともあろう。

3月は、年度末関係の事務作業・処理が多いことから、これらとの関係を考慮しながら、円滑に作業や事務を進められるよう、校長等の管理職は十分に配慮することが必要である。各担当や責任者が作成する計画等についてしっかりと目を通し、自身が提示した方針に沿ったものになっているかについて明確に指導・助言することも必要である。4月に入れば、これらの指導計画や実施計画にそってすぐに教育活動・職務行動が始まるのである。2年目の勝負は、その内容に大いにかかっていることを、強く心に止めておきたい。

改革の視点をもって新たな学校文化を創る

チーム学校として全教職員等による以上の取り組みを進行させながら、校長は2年目の学校経営計画(学校経営案)を策定する。

ここで重視したいのは、平成29年度から次期教育課程に向けた動きが具体的に始まるということである。これまでも何度もこのことに触れ、そのときなりに準備をすることを求めてきたが、いよいよ始まる。

「知識・理解中心から資質・能力の育成へ」「教えから学びへの構造改革」などと言われているように、学校に大きな変革を求めるものである。これを校長としてどうリードし子供たちのための質の高い教育を実現していくか。

そのために学校のこれまでの何をどう変えていく必要があるのか。新たな学校文化をどのようなものにしどのように創っていくのか。保護者や地域住民と学校や地域づくりをどう進めていくのか。まさに先端を見据え、先頭に立ってリードしていくことが求められ、期待されている。

これはやりがいのある仕事であり、一番いいときに校長になったのである。正月、一年の計でその出発が図られるのを期待する。

あなたへのお薦め

 
特集