【連載】校長のパフォーマンス 第69回 人工知能に弱みはあるか

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

11月8日のニュースに「人工知能『東ロボくん』が東大合格を断念」があった。東大の入試にチャレンジしたが、読解力に問題があったらしい。ただし、他の大学はかなりクリアできる力は備えている。

最近、人工知能(AI)のニュースでにぎわっているが、その理由は人間の知能を超えた力を多様に発揮しはじめたからである。2013年以降に第3次ブームが沸き起こっているという。第1次ブームは1950年代の後半であって、「人間の知能はコンピュータで再現できる」とされたが、当時はおもちゃの運動を解ける程度だったという。第2次ブームは80年代でコンピュータに知識を大量に与えることはできたが、それ以上の操作ができないでいた。

今回はAI自身が学習できるという特質を備えはじめていて画期的である。どこまでその知脳は発達するであろうか。

ともあれ東ロボくんが東大入試を断念したことで、改めて人間とAIの知能の違いに気付かされた思いがする。何が違っているのであろうか。

そのことをヤフー(株)のチーフストラテジーオフィサーである安宅和人氏が興味深く述べている(『人工知能』ダイヤモンド社、2016)。安宅氏はAIにできないことを人間が認識することが大切だという。

(1)AIには意思がない(2)AIは人間のように知覚ができない(3)AIは事例が少ないと対応できない(4)AIは問いを生み出せない(5)AIは枠組みのデザインができない(6)AIにはひらめきがない(7)AIは常識的な判断ができない(8)AIには人を動かす力、リーダーシップがない

ただ、得意な分野では人間の成し得ない力を発揮する。その力が昨今は急激に認められるようになってきた。その影響は多様であるが、ただし情報処理が多くなり自動化できるようになっても、人間の持つ不揃いでも誠心誠意、生身の人が提供してくれるサービスはなくならないという。

教育の分野ではどうか。識者の指摘するのは初等・中等教育で必要とされるものとして、コンピュータが得意でない分野だという。つまり、創造性、対人スキル、問題解決などである。

教育の世界に新しいデジタル機器が出現すれば、それに対応したスキルの獲得を目指そうと考えるが、むしろデジタル機器では扱えない人間的な分野こそ重要と考えている。両者の関連的な教育の課題が生まれそうである。

それにしてもAIの世界が教育分野にどのような形で導入されるのか、AIの導入によって学習の在り方がどう変わるのか、興味と関心はつきない。AIの技術発展の展望によれば2030年代とされているが、はたしてどうであろうか。

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