【連載】クオリティ・スクールを目指す 第91回 地域にチャレンジする生徒たち

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

実社会・実生活の課題を探る

山形県の東根市は興味深い。全国的にも珍しい人口増加の市である。サクランボが全国一の収穫であることから、新幹線駅を「さくらんぼ東根駅」と名付けている。秋になればラフランスがよく実る。果樹王国である。

そんな東根市の地域問題に中学校3年生がチャレンジした。東根市立第一中学校(池田史明校長)である。

総合的な学習の魅力は、多様な課題に取り組めるところにあるが、市全体を視野に入れた展開は珍しい。それも、生徒個々の課題発見は市で発行している『数字でみる東根市の概要』であった。グラフや図表が並んでいる固い内容の冊子であるが、それを拡大して展示し、そこから課題発見に導いた。

3年生はほぼ200人、7学級である。研究会ではその半数が、3人チームになって調べたことを同級生や下級生に説明していた。それぞれの課題は多様で、環境、地域社会、食物、教育、観光、産業、高齢者などである。

発表の仕方も多様だ。画用紙や模造紙に絵や図表など分かりやすい手法を考えていた。中には電子黒板を使って動画を駆使していたチームも何例かあった。
中学生として初めての地域づくりに向けた取り組みで、チームの発表も個々にとどまっていたが、同じ課題に取り組んでいるチームもあるので、課題についての集団討論の機会を持てば、追究がさらに深まるのではないかと期待させる学習活動であった。

ところで、総合的な学習は課題追究活動が実際に行われても、それがどのような学習成果を生むのか、よく見えない場合がある。

そこで、今回の学習結果が生徒をどのように変えたか、調査してみることになった。その比較対象は、4月に行った全国学力・学習状況調査の生徒質問紙である。10月末に項目を選んで部分的に再調査した。

最も大きな変化は「総合的な学習では、自分で課題を立て情報を集め、調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んだか」で、4月は22%(全国18%)であったが、それが53%に跳ね上がっていた。「総合的な学習は生活や社会に役立つか」も4月31%(26%)が51%、「総合的な学習が好きか」は4月36%(26%)が42%であった。
さらに国語の授業に見られた「目的に応じて資料を読み、自分の考えを話したり書いたりした」は24%(20%)が43%、「意見の発表のとき、うまく伝わるように工夫する」は16%(16%)が33%、「自分の考えを書くとき、考えの理由が分かるように気をつける」は29%(23%)が39%となった。

このような調査結果を見ると、恐らくは国語の授業のみでなく、言語能力が多様な場面でより高まったと推測できる。総合的な学習の良さを再認識できる研究成果であった。

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