【連載】クオリティ・スクールを目指す 第92回 理数教育はどう向上したか

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

国際学力調査にみられる課題

小学校4年生と中学校2年生に実施している「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2015年の結果が、昨年11月29日に発表された。国際教育到達度評価学会が4年に1度実施するもので、現在67カ国・地域が参加している。今回の結果は、小中ともに日本は過去最高の得点で、全て5位以内である。着実に学力は向上している(詳細は本紙昨年12月5日付)。

現行の学習指導要領にみられる「脱ゆとり」や、全国学力調査などによる学力向上の成果が顕れたといえるであろう。なお、シンガポールは全てにおいて1位であった。

実は学力と同様に注目したいことがある。

20年前の1995年の中学校の数学・理科の得点は3位であったが、同時に行われた意識調査で「数学や理科が好き」という生徒の割合は、先進国17カ国の中で最下位だったのである。また「理科は生活の中で大切と考える」割合も、「科学を使う仕事をしたいと考える生徒」の割合も最下位であった。

例えば、シンガポールは当時も1位であったが、学習意識でも上位に位置している。アメリカは学力ではかなり低かったが、学習意識は中程度であった。

なぜ、日本の生徒は学力が3位でありながら学習意識が低いのか。つまり、わが国の生徒は、教科は好きでない、生活に関係ない、将来の仕事も考えていない、ように見える。

20年過ぎた今回はどうか。「算数・数学が楽しい」は、小4が03年で65%(国際平均79%)が今回75%(85%)である。中2は39%(65%)だったが、今回は52%(71%)と伸びている。「理科は楽しい」は小4が03年の81%(82%)から今回90%(87%)。中2は59%(77%)から66%(81%)とやや伸びている。ただ中2は、理数ともに国際平均に比べるとかなり低い。

中2の調査であるが、「理科を勉強すると日常生活に役立つ」と考える生徒は03年が53%(84%)だったが、今回は62%(85%)である。「将来、自分の望む仕事につくために教科で良い成績をとる必要がある」は39%(66%)から51%(72%)に伸びている。ただ、国際平均に比べると同じようにかなり低い。

このような学習意識の低さの影響は、結果として高得点層が他の国よりも少ない割合になっている要因ではないかと考えられる。経年調査では全体的に徐々に高まっているといえても、なお大きな差異が見られるのである。

理数教育の重要性はますます高くなると考えるが、アクティブ・ラーニングの普及によって大きく促進されるかどうかである。

昨年12月7日に報道されたOECDのPISAでも、「科学が楽しい」という指標の低さが指摘されている。「学びに向かう力」の形成はその基本が課題であることは確かである。

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