【連載】ミドルリーダーの学校経営 10 管理職の仕事と意識に変化

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

副校長・教頭は、教職員の人間関係に配慮した職場づくりや同僚性の構築という仕事を通じて、ミドル・リーダーの育成と活躍を左右するキー・パーソンといっても過言ではない。

しかし、全国公立学校教頭会の最新(平成28年度)調査の結果は、副校長・教頭の仕事における変化が生じていると示唆するものとなった。

すなわち、職員室から家庭・地域へ、児童生徒へと仕事と意識の重心が移動しているようなのである。具体的には、まず「実際に時間と労力をかけている」職務として、「保護者・PTA・地域・関係諸団体との連絡」と「児童生徒の指導上の課題への対応」を挙げる割合が、これまでより大幅に増加した。

さらに、それらを「もっと時間と労力をかけたい」職務に挙げた副校長・教頭も増え、「職場の人間関係づくり」(1位)に次いで、それぞれ2位、3位となったのである。

もちろん、「保護者・PTA・地域・関係諸団体との連絡」と「児童生徒の指導上の課題への対応」は、副校長・教頭の大切な仕事である。コミュニティ・スクールや学校支援地域本部の設置数が増え、「地域に開かれた教育課程」が唱えられている今日、学校と家庭・地域の橋渡し役という職務の重要性は一層増している。また複雑化・深刻化した「児童生徒の指導上の課題」が量的にも増えているので、副校長・教頭自ら職員室を飛び出し、直接対応せざるを得ない場面も増えているに違いない。

さらに、調査結果からは、副校長・教頭が、こうした変化をポジティブに受け止めているのがうかがえる。

しかし、このような変化の背景には、学校が教育活動を十分かつ適切に実行していくのに必要な教職員が足りない事実があるのを見逃してはならないだろう。そのために副校長・教頭が「職員室の担任」としての役割を薄めていくのであれば、ミドル・リーダーの育成と活躍に対する負の影響も小さくはないだろう。