【連載】クオリティ・スクールを目指す 第94回 小学生が神楽や古代米作り

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

地域の伝承を学び伝える

宮城県栗原市に築館城生野(つきだてじょうの)という地名がある。奈良時代に伊治城(西暦767年造営)があったとされる由緒ある土地で、城址跡が残っている。近くには横穴古墳群もある。伊治は「これはり」と読む。栗原の地名の由来だという。

またこの地域には岩手県南、宮城県北では最も古い城生野神楽が伝承されていて、それがこれらの地域に息づいている。

これらの伝承を生かそうと、地域自治体が中心になって2年前の春に立ち上げたのが「これはりの里歴遊会」(斎藤義憲会長)である。大人向けの歴史探訪を企画しているが、小学校長だった斎藤会長には、子供たちへの思いが強い。

一昨年の11月には「神楽伝承まつり」を開催した。大人や子供がそれぞれの地域から集まって「舞」や「神楽」を行うのだが、その地域を見ると、栗原市を中心として、宮城県大崎市、登米市、岩手県一関市、奥州市が参加している。城生野神楽は江戸時代(1820年ごろ)の創設だが、それらの地域に広まっていたのである。

これまでも、神楽大会はこれらの地域で開催されてきたが、参加者は大人が対象で子供は練習しても参加できないでいた。子供にも「舞」や「神楽」をと考え、実施したのが今回の「まつり」であった。斎藤会長は「少子化高齢化の影響で、大切な郷土芸能の神楽は消滅の危機にある。何とか残せるように、まつりを企画した」と語っている。

ただ、これまでも神楽を指導する小学校などが見られた。小学生が参加した城生野神楽鶏舞保存会は1972年の結成である。しかし、学校の統廃合が進む栗原市では、学区が広がって学校に頼るのは難しくなるという。一時、総合的な学習が創設されて全国各地の学校で郷土の伝承を見直し、復活させる機運が高まっていた。だが、今も継続されているであろうか。

また「これはりの里歴遊会」は昨年「古代米づくり」にチャレンジしている。参加した児童は10人だが、地元農家の指導を受けて赤米と黒米になる古代米の苗を植えた。この地域では2千年前から米作りが行われていたと聞いて驚いていたという。その成果は見事な収穫になっている。稲作体験を通して地域の歴史を学ぶことの大切さである。

斎藤会長は、今年は伊治城が築城されて1250年になることから、この大きな節目を地域全体で盛り上げるよう、さまざまな企画を考えたいと意気込んでいる。大いに期待したい。

最近の学校は、体験学習が極めて強調されていながら、教科等の授業確保で余裕がなく、実体験の企画が低調である。地域が支援してくれることで学校外の体験活動が豊かになる可能性が大きいのである。

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