【連載】中教審答申 ここに注目④

鳴門教育大学理事 佐古秀一

 

子供たちの実態を整理し確認する
1.学習指導要領等の改善の方向性

昨年12月に公表された中教審答申(『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について』)では、これからの社会の中で自らの能力を高め、主体的に課題解決に向かい合うことのできる子供の育成をねらいとした教育課程の在り方が示されている。それとともに、学校経営の充実・強化についても多く言及されている。

答申の内容を、本稿の趣旨に沿って簡単にまとめておこう。

まず、今後、社会とのつながりの中で、自己の能力を高め、生活や社会の課題解決に主体的に向き合うことのできる子供の育成のために、教育課程の在り方として「社会に開かれた教育課程」という理念が打ち出されている。「社会に開かれた教育課程」のもと、子供たちに新しい時代を切り開いていくために必要な資質・能力を育むためには、3点の改善・充実が求められるとしている。

すなわち、(1)「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「子供一人ひとりの発達をどのように支援するか」「何が身についたか」「実施するために何が必要か」等の観点から学習指導要領等の枠組みを大きく見直すこと(2)各学校における「カリキュラム・マネジメント」の確立(3)主体的・対話的で深い学びの実現(「アクティブ・ラーニング」の視点)——の3点である。そして、カリキュラム・マネジメントとアクティブ・ラーニングとは、教育課程を軸にしながら、授業、学校の組織や経営の改善を行うためのものであり、両者を一体として捉えることで、学校全体の機能を強化することができると述べられている。

2.学校におけるマネジメントの重要性

とりわけ管理職にとっては、学校経営の改善・充実が強調されていることには十分に留意すべきであろう。カリキュラム・マネジメントという考え方が前面に出されているが、これまで対象やねらいが曖昧なまま流れがちであった学校経営を、教育課程の編成、実施、評価に焦点化してとらえることの重要性を指摘したものといえる。

このカリキュラム・マネジメントを実施する上で、押さえておくべきポイントとしては、第一には「何を教えるか」の観点だけでなく、学習指導要領の改善の趣旨をふまえて、それぞれの学校の子供たちが「何ができるようになるか」の観点から、つまり一つ一つの学びがどのような力を育むものになるかという観点から、カリキュラムをとらえ直すことである。

第二には、教育内容と教育活動の双方において必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源を含めて活用するようにすることである。校内リソースのマネジメントだけでなく、学校外の人的・物的リソースを効果的に活用すること、学校内外のリソースを結びつけて子供の教育を計画実施していくことである。要するところ、「チーム学校」という視点からのマネジメントの充実・強化である。

第三には、自校の子供の実態(特長や問題点)を、教職員としっかりと共有することの重要性である。自校の子供たちに将来を見通してどのような力を育むかを明らかにし、共有するためには、自校の子供たちの姿を整理し確認しておくことが不可欠である。自校の子供の実態を整理確認することから育てたい力のリアリティが見えてくると考えられる。

つまり、そこから育てたい力(育てなければならない力)についての、教職員間、あるいは保護者や地域の人たちとの間での共有が、可能になってくると考えられる。

形式的なPDCAサイクルを踏襲するのではなく、自校の子供の実態をまずはしっかりと整理・確認するところからマネジメントを起ち上げることが、これからの管理職には求められるのではないだろうか。