【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南11

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

2月
次年度の組織運営計画作成
新たな学校文化のデザインづくり
踏襲から改革へ

2月は、1月の教育課程の編成に向けた取り組みと呼応して、学校の組織運営の改善と新年度の計画を行う。これまでに行ってきた学校の組織運営の取り組み方の踏襲をやめ、新たな学校文化づくりに向けて改革を行う取り組みである。

教育の視点からは教育目標の具現に向けた教育課程実施のための諸条件を整える。経営的な視点からは、学校がもっている強みを、どのようにしたら発揮できるようになり、どう改革につなげるかを明らかにする。管理的な視点からは、1年目に見いだした諸課題をどう解決し、安心・安全のある学校づくりをするかを具体的に提示する。

また新たな学校文化づくりを担う人材育成をどのように進めるかについて、次の組織づくりと相まって具体的な構想や計画を作るようにする。

教員中心の組織から「チーム学校」づくりへ

学校の組織運営を見直す視点は「チーム学校」である。「チーム学校」とは、「校長のリーダーシップの下、カリキュラム、日々の教育活動、学校の資源が一体的にマネジメントされ、教職員や学校内の多彩な人材が、それぞれの専門性を生かして能力を発揮し、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせる学校」をいう。

この実現のために学級担任や教科担任の教諭だけではなく、養護教諭、栄養教諭、司書教諭、事務職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員(仮称)などを、それぞれ学校の教育活動、学校運営の組織に位置づけ、どの職務にどのように機能するかを校務分掌に明示する。

それとともに、相互の関係を位置づけるようにする。保護者や地域住民等の学校関係者、警察、消防、保健所、児童相談所などの関係機関、スポーツ団体、経済団体、福祉団体等の各種団体などとの関係や、その内容、協力・連携の在り方を示して、具体的に機能発揮できるようにする。

多忙感を払拭できる簡潔な組織編成へ

組織のスクラップ・アンド・ビルドが重要であるが、まずはスクラップに重点を置く。中央教育審議会答申、次期学習指導要領が求めるこれからの学校づくり、学校や地域の特色を生かした新たな学校文化の創造、それを具現する新教育課程を見通して、これを実現していく学校組織の在り方を模索していきたい。

また校内の所属教職員の人数、学校規模や地域の実態等に即した組織に改変することが必要である。従来のものを踏襲し、ただそれに人を位置づけるようなことはせず、必要最低限の組織からもう一度出発してみることである。場合によっては、人を付けずに臨機応変に対応するなども考えておく。この辺りは、学校評価結果を活用して対応するようにしたい。

以上により機動性・機能性のある組織にする。学校経営の重点、教育課程の重点に沿った組織づくりを目指すことである。

校務分掌の明示と責任の明確化

校務分掌は校長の責任で組織し、分掌して配置するものである。誰をどの分掌に配置するか悩むところである。個々の教職員の希望もあるが、教育課程の編成・実施、学校の組織的運営等などの視点から、そして数年先までの人材育成の展望をもって分掌を組織することが大切である。

その際重視したいのは、各分掌の職務内容を具体的に明示することである。いつ・どこで・どんな仕事を行うのか、いつ提案するのか、どんな計画で行うのかなど職務内容を具体的に示す。それにより、各校務、その責任者・担当者がどんな職務を行っているのかを全員が具体的に認識できる。また学校評価の際に成果や改善策を具体的に明らかにすることができる。

これらによって、一人ひとりが教育課程、学校運営における自他の役割分担を認識するとともに、いつ、どのように協働すればよいかを理解して、相互に責任ある仕事を遂行することが期待できる。

「C」後の「A」を次年度運営計画へ

学校評価の総括的な評価から「C」「A」が明らかになっていることであろう。この次なるアクションを各校務分掌の職務内容の改善や運営計画の改善事項として、次年度の運営計画に具体的に位置づけているだろうか。PDCAサイクルを確立させているかということである。PDCAで終わってしまうと次のPにつながらず、また同じことが繰り返される。

次年度の運営計画や分掌事務事項の改善策として具体的に位置づけなくてはならない。サイクルとしてらせん型に向上していくようにすることが学校経営である。校長の重要な仕事であり、これにより学校運営の質を高めていくようにする。

予算編成 — 重点化して配付

年度末の学校運営の重要な視点として、次年度の予算編成がある。学校予算は全てが学校の自由にはならないが、それでも今日、ある程度は学校に任されている。前年度の踏襲や既得権の行使のような配分ではなく、次期教育課程を見通し、新たな学校文化づくりの展望を持ち、その実現に向けて重点化して配分することを工夫する。

校長の視点からは学校経営の重点を具現することに、教育課程の視点からは重点とする教育目標の具現に資することに、教員の資質・能力向上の視点からは校内研修の充実に予算配分する。

展望と計画をもって予算を組むようにするのである。

研修の充実を目指して

平成29年度は次期教育課程に向けた移行期間の第1年目で、新学習指導要領の趣旨理解の年である。社会に開かれた教育課程、資質・能力の三つの柱、カリキュラム・マネジメント、主体的・対話的で深い学び、言語活動の一層の充実、道徳教育の充実などの教育課程全体に関わる改訂の方向、各校種別の改訂のポイントなどについて学習するとともに、その実践力、指導力を高めなくてはならない。

平成30年度からは移行措置や先行実施が始まるので、この29年度の内に、これらの研修を着実に進めることが必要である。これらをどのように進めるかについて、これも展望と計画を示すことが必要である。

卒業式・入学式の準備

卒業式は最も重要な儀式といってよい。小学校では6年間の教育(学校経営)の総仕上げの姿を示す、晴れの門出の式である。

校長の識見とリーダーシップが問われるところである。しかも、新任校長としては、初めての式となるものである。

事前に計画を十分に検討するとともに、卒業式委員長などから説明をよく聞き、この1年間の学校改善に向けた学校経営が反映されているものであるかを確認する。

卒業式には地域の人々や教育委員会など関係機関の代表者も参列する。学校だけのものではないから、それらを踏まえて学校経営の成果を具現する式の実現と、それに見合う祝辞を工夫する。

次年度の入学式は二度目の経験になるので、前年度の反省・評価を生かし、2年目としての校長の学校経営出発の儀式の気持ちで臨むようにする。

もちろん主役は新1年生であるが、祝いの言葉として、資質・能力の三つの柱を踏まえるなどして、新しい学校づくりが始まっているのを感じられるよう工夫することである。