【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅢ 第32回 新年度に向けて

地域に開かれた教育課程

○学校は一つの社会として

昨年12月、中教審答申で「社会に開かれた教育課程」が打ち出された。これからの子供たちに特に重要な能力として「知識・技能」「思考力・判断力」「学びに向かう力・人間性等」が挙げられた。学校は、子供たち・教職員・保護者・地域の人々などから構成される一つの社会である。その学校そのものや、家庭、身近な地域、より広い社会、世界などの開かれた環境を学びの場として、多様な人々や課題とつながりを保ちながら学ぶこと、すなわち「社会に開かれた教育課程」の実現が未来を生きる子供たちに必要な能力を育むものとして望まれるところである。

〇「社会に開かれた教育課程」の実現

「社会に開かれた教育課程」を実現するためには、まず、教師一人ひとりが、しっかりした人生観や世界観を持ち、社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、学校教育を通じてよりよい社会づくりができる人間の育成を目指すという理念を有することが望まれる。

そして、これからの社会をつくり出していく子供たちに求められる資質・能力とは何かを明確化し、教育目標を設定しなければならない。

その上で、児童生徒・教師集団・学校の施設設備や予算・保護者や地域などの実態等をしっかりと把握・理解し、社会の変化や将来の見通し等を考慮して、教育目標達成のために、これまでの教育活動の評価を基に今後の取り組みに必要不可欠なことは何かを組織的に柔軟に検討し、教育課程に組み込む内容を精選して取り入れる必要がある。「開かれた教育課程」は、やみくもに地域等との連携を広げ、多様な活動を組み入れるようなものであってはならない。

教育課程の実施には、地域の人的・物的・文化的資源や環境を活用したり、放課後や土曜日等を活用して地域行事に参加したり、社会教育との連携を図ったりするなど、学校教育の目指すところを社会と共有・連携しながら実現させることが求められる。

そのためには、学校が目指すところ、実施していること、これから実施しようとしていることなどについて、学校だより、行事や集会、ホームページなどを利用して保護者や地域の人々にこれまで以上に理解してもらう努力が必要となる。学校の方針決定に保護者や地域住民の意見を反映させる取り組みは、外部の方が、学校教育に対してより深く関わる意識や姿勢を高める効果も期待できる。

○活動内容の吟味

「開かれた教育課程」の活動内容は、自分自身の課題・身近な課題・地域の課題・より大きな課題等について、気づく、調査する、まとめる、発表したり発表を聞いたりする、という学習活動にとどまらず、課題を解決する方法を考察し、可能なかぎりの実践をし、その時点で実践が困難でも将来できる手段を考察するなどの取り組みが必要である。

そこでは、教科・学年等の横断的な視点が不可欠になる。活動の全ての過程において他者や社会との関りを重視しながら進めることである。このような活動は「総合的な学習の時間」はもちろん、全ての教科・領域の学習活動に意識的に取り入れられなければならない。これがすなわち「社会に開かれた教育課程」の実現となろう。福祉教育・キャリア教育・道徳的実践力を強化する教育等は「社会に開かれた」活動につながる内容が豊かなので、充実すべきであろう。

○編成にあたっての留意点

教育課程の編成には、全く新しい活動を取り入れることも必要となろうが、これまで実践してきたことをより効果的に改善する視点も重要である。調査や発表で終了していたものを、課題解決に向けた取り組みを友達などとの協働作業や社会との関りの中で実践するように発展させること。例えば、避難訓練を登下校時の災害対応として地域全体を訓練の場とし、地域住民の協力を得て実施し、活動を地域的に拡大したり、宿泊を伴う行事の際に宿に協力を依頼して訪問先での訓練を実施したりするというように改善するならば、より実際的で、社会で必要な力を育む内容となろう。

また教科等で学んだ内容が社会でどう生かせるか、社会とどう関わるかについても、これまで以上に真摯に追究されなければならない。

「社会に開かれた教育課程」の実現は、「生きる力」を育む教育の柱となる。それは、教科書の中の答え、あるいは教師が示せるとは限らないさまざまな現実的な課題についても、子供たちが自らの力を最大限に発揮し、友人・教師・保護者・地域の人々、その他の協力も得ながら立ち向かい、力をつけ、成長することが期待できるからである。