【連載】中教審答申 ここに注目⑤

上越教育大学名誉教授 新井郁男

 

ALの評価を創造的に工夫する

昨年12月に出された中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等改善及び必要な方策などについて」は、審議の過程においても、さまざまな意見などが出されてきていたところであるが、答申が発表されたことで、改めて注目すべき点、特に、学校、なかでも学校のリーダーであるべき管理職に注目してほしい点を、若干指摘したいと思う。

まず全体としての感想を述べるならば、答申で指摘されていることは、いずれも的を射ているといってよいであろう。しかし、それを実践する学校としては、具体的にどうしたらよいかと戸惑っていることも多いのではないかと思われる。小学校における道徳や英語の教科化や、高校における教科・科目構成の見直しなどは別として、その他については、アクティブ・ラーニングなど新たなキーワードは提起されていても、従来とそう変わりはないではないかという学校現場からの声が聞こえてくる。
しかし、よく読んでいくと—それ自体容易なことではないだろうが—ターニングポイントとなるような注目すべき方向が提起されている。

それは「学習の内容と方法の両方を重視」するということが今回の改訂では目指されていることである。従来、方法については各学校、各教師に委ねられていたが、今回は、方法の基本的な方向が明示されたということであろう。第8章で、「子供一人一人の発達をどのように支援するか—子供の発達を踏まえた指導—」ということが提起されている。学校としてこの方向をどのように具体化するかということが重要な課題となる。

子供、というより人間の発達は年齢に応じて同じ速さで進むわけではないし、発達の具体的姿も一様ではない。

しかしながら、学校では、学年、学級を、こうした多様性を踏まえて編成してはいないのが一般的である。こうした構造を制度的に変更することには限界があるであろうが、各学校において、必要に応じて、学年の枠を超えた学習集団や習熟度別の編制を積極的に導入することが求められているものと思われる。

かつて、中教審が昭和46年に出したいわゆる46答申が提唱した無学年制について再考することを期待する。

以上と関連して重要な点は、指導や学習の成果の評価についてである。

答申では、カリキュラム・マネジメントということが強調されている。各学校は学習指導要領に基づいて教育課程を編成することになっており、このことはこれまでと変わりがないが、カリキュラム・マネジメントというのは、単に教育課程を編成するだけでなく、それと連動して方法・評価などの在り方も考えるということである。方法については前述したが、評価はまさに子供のアクティブ・ラーニングの成果を評価するということである。

では、アクティブ・ラーニングの成果はどのように評価したらよいだろうか。評価は一般にあらかじめ設定した目標に照らして行われるが、アクティブ・ラーニングの成果を評価するためには、こうした目標準拠の評価だけでは十分ではない。ここで想起されるのは、昭和49年、1974年に文部省がOECDの教育研究革新センター(CERI)と協力して開催した「カリキュラム開発に関する国際セミナー」で提起された羅生門的手法によるカリキュラム開発である。

これは端的にいうならば、一般的な目標を重視しつつ、具体的な目標にはとらわれずにそれぞれの教師の目で学習や指導の成果を評価するというものである。ここでは詳述できないが、セミナーに記録係・まとめ役のひとりとして参加したものとして、こうした評価システムを各学校の創造性において実現することを期待する。

注目すべき点はまだ多々あるが、ぜひ、過去も振り返りながら未来を構想していただきたい。

関連記事