【連載】校長を目指す教師のために 第11回 ロールモデルを示す

麹中アフタースクール
麹中アフタースクール

東京都千代田区麹町中学校長 工藤勇一

 

本校、麹中メソッドの2つ目の柱は「社会へのロールモデルを見つけさせる」である。そのための環境づくりについて示したい。

「自分が生きていこうとしている社会に期待感が持てる」。

私は全ての子供たちがこうであってほしいと願っている。これは、学校教育にとってどの目標よりも優先すべき目標だろう。同様に、「世の中には素敵な大人がたくさんいる」と、どの子も思えるようにすることが、私たち大人の役割なのだと考える。そもそも、世の中に希望を持てずに社会に出るモチベーションなど生まれるはずはない。大人に失望し幻滅している子供たちが、大人に成長したいという気持ちを持てるわけがない。

麹町中では、教育活動の中に多くの外部人材を取り込み、専門性豊かな質の高い学びと出会いの機会を設けている。

「クエストエデュケーション」や「スキルアップ宿泊」「模擬裁判」「伝統文化」といった総合的な学習の時間をはじめ、英語や武道、家庭科といった教科、そしてメニュー豊富な放課後学習など外部人材の支援場面はさまざまだ。

東京会館和食総料理長の鈴木直登氏やオテル・ドゥ・ミクニオーナーシェフの三國清三氏、四川飯店オーナーシェフの陳建一氏による家庭科の調理実習や、政界・財界・教育界などで活躍する同窓生を招いて行う「卒業生が講師」などの特別授業は、生徒だけでなく、教員や保護者の価値観にも影響を与える象徴的な取り組みである。

また可能な限り自律的な運営を目指した放課後の活動「麹中アフタースクール」では、日常的に多くの外部人材が生徒を直接指導している。「麹中塾」では、補習講座だけでなく、テレビアナウンサーによる本格的なアナウンス講座、外部委託で運営される英会話スクール、水泳講座、和文化講座などの講座が開設されている。「サークル」では、IT会社経営者の指導を受けて、スマートフォンのアプリを開発したり、民間の農業コンサルタントの方の支援を受けて、屋上庭園で実践的に農業経営を学んだりする活動など、社会とのつながりを意識した実践的な学習が行われている。

生徒たちはこうした本物の学びと出会いを通じて「社会」を知り、「自らの生き方」をイメージできるように成長している。外部人材は生徒たちの、まさにロールモデルだ。

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