【連載】ミドルリーダーの学校経営 11 副校長・教頭の役割再検討

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

副校長・教頭の仕事において「渉外」的業務の占めるウエイトが増え続ける一方、児童生徒への指導に自ら乗り出さなければならない場面が多くなっている。その結果、教職員の人間関係を基礎とした職場づくりに、これまで通り注力できなくなるとすれば、ミドル・リーダー育成にも影響を及ぼしかねない。

周知の通り、学校で最も長時間働いているのは副校長・教頭である。新たな仕事が加わる場合はむろんのこと、より多くの労力を従来の職務にかけなくてはならない場合は、何か他の仕事にしわ寄せが及ぶ。保護者、地域や関係諸団体との協働的な関係の構築も、児童生徒への指導も、決して蔑ろにできないのは言うまでもないが、「同僚性」を職場に根付かせるのは、それらに劣らず大切な仕事である。

ミドル・リーダーが「育つ」職場づくりという観点から、副校長・教頭の職務内容を点検し、関係する政策や施策についてもプライオリティーが考慮されなくてはならない。

地方公務員法の改正により、給与等の処遇への反映が求められるようになった教職員評価制度における副校長・教頭の役割も検討すべきではないだろうか。平成27年度の全国公立学校教頭会による調査結果によれば、小学校と中学校の教頭・副校長の75・3%が第一次評定者として教員の業績評価の評定を行っている。教職員との対話・コミュニケーション・相互理解を深め、学校づくりを進めるツールとして教職員評価を用いようとしている副校長・教頭にとって、そのような役割と査定者としての役割との両立は、必ずしも楽ではないだろう。

給与等の処遇に反映される評価の適切な実施が、ミドル・リーダーの自覚やモチベーションの向上につながる場合はある。しかし、その分、副校長・教頭の教職員育成や職場づくりの仕事が後退すれば、ミドル・リーダー育成に負の影響を与えかねない。

総体的・長期的な視点から、何を優先すべきかを考えるべきである。

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