【連載】ミドルリーダーの学校経営 12 育成と職場づくりを一体で

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

これまで述べてきたように、ミドル・リーダーが活躍できるかどうかは、職場の性質や在り方と強い関連性がある。ミドル・リーダーが活躍し、分散型リーダーシップが存分に発揮されている学校の職場には、教職員が相互に尊重しあう雰囲気に満ちている。年齢や経験年数にかかわらず、自由に意見を述べ合い、自然に学び合える文化が根ざしている職場では、ミドル・リーダーが着実に育っている。

今日、中堅教員層が少ないことが学校運営上のさまざまな課題を引き起こしかねないとの懸念から、ミドル・リーダー育成が強調されている。法定研修である10年経験者研修も、そうした観点から位置付けと内容が見直されて「中堅教諭等資質向上研修」へと変わるのが決まった。

しかし、ミドル・リーダー育成をもっぱら個々の教職員の資質能力の問題として捉えてしまうのは問題だ。ミドル・リーダーが育ち、活躍できる「職場」であるかどうかという点が、負けず劣らず重要なのである。

教職員の世代交代が進み、本人が好むと好まざるとにかかわらず、経験の浅い教員が主任等のミドル・リーダー的職責を担うようになっている。最近まで、ボリューム・ゾーンに属する教員で主任等を担う者は一部で済んだのに対して、今は若いうちからミドル・リーダーとしての活躍が期待され、その可能性が多くの教員に開かれている。学校が多様化・複雑化する課題の解決への対応を求められる中にあって、ミドル・リーダーが新しい自由な発想を吹き込んでくれることへの期待も大きい。

そこで校長をはじめ、管理職の出番である。リーダーシップ・スキルの獲得面と精神面の両方でミドル・リーダーを支援するとともに、教職員が互いの頑張りや仕事の価値を認め合い、自然に学び合える「同僚性」を職場に育むのが求められている。管理職が担うミドル・リーダー育成という、今日、重要性を増している仕事は、職場づくりと一体的に進めることで功を奏するだろう。

(おわり)