【連載】国際バカロレアを知るために 第36回 IB200校の意味すること

都留文科大学特任教授 武蔵野大学教育学部特任教授
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

36回に及んだ本連載は今回で最終回になりますので、2013年から国としての予算が計上されながら進められている「IB200校計画」(2020年までにIB校を200校以上に増加させる計画)の現状について書いておきたいと思います。

この計画を実現するために、これまで英語・フランス語・スペイン語で実施されていたIBディプロマ・プログラム(DP=高校2、3年生対象の2年間プログラム)を日本語で実施できる環境が整えられています。2013年3月に文部科学省と国際バカロレア機構が「日本語DP」に関する合意を形成しているのです。

そして、今年1月に、初めての「日本語DP」修了者が生まれました。沖縄尚学高校の2人と仙台育英高校の3人の、計5人です。日本のIBの歴史に名を残す生徒たちだと思います(国からの表彰があってもおかしくないくらいです)。
5人はそれぞれの道をIB的にいうなら、それぞれの旅を、IBを通して学んださまざまな力を使いながら歩んでいきます。

人数が非常に少ない印象を持つかもしれませんが、直近でいいますと、今年1月27日付けで、学校法人山梨学院が設置する山梨学院高校(山梨県甲府市)が、2月14日付で、学校法人法政大学が設置する法政大学女子高校(横浜市)が、それぞれ国際バカロレア機構からDP実施校としての認定通知を受けました。山梨学院については幼稚園・小学校が既にPYP(IBの初等教育プログラム)の候補校になっており、さらには、近い将来MYP(IBの中等教育プログラム)の導入も計画していて、一条校としては日本で初めてPYP/MYP/DPのすべてのプログラムを実施する学校になる準備を進めています。

私立学校だけでなく、各地の公立学校でもDPの導入についてさまざまな取り組みが行われており、ここ数年でいろいろな地域でIB校が誕生していく状況です。東京都では既に都立国際高校がDPを実施。北海道でも既に札幌市立開成中等教育学校がMYPの候補校になっています。

一部の地域では、公立学校の取り組みが進んでいないように見えますが、そのような地域も、他地域の動きに刺激され、またIBを学んだ生徒たちがどのような力を付けているかについて、これからさまざまな具体的事例が耳に入るでしょから、後れを取ってはならないと動き始めるように思います。

以上が「IB200校計画」の近況ですが、忘れてならないのは、この計画が日本の教育改革の、ある意味で先鞭としての意味を持っているということです。それは、公表された次期の学習指導要領案が目指していることと、国際バカロレアプログラムの近似性の中で、はっきりと見て取ることができます。IBは、日本がこれから目指していく教育の、よきモデルとしての役割を持っているのです。

(おわり)

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